Archive for 10月 9, 2010

プロ棋士とコンピュータ将棋の3年半ぶりの公式戦、間近に迫る

清水市代女流王将あから2010

追記(10/10): 大盤解説会の解説者を追記しました。重要なポイントのようですので。

清水市代女流王将vsあから2010、必見の大一番がいよいよ2日後に迫ってまいりました。ニュースとしての注目度も高まっており、その意味の大きさについては繰り返すまでもありませんが、ここでは直前情報をまとめておきます。

対局は、東京大学本郷キャンパス工学部2号館にて、10月11日(月・祝)13時に開始されます。持時間は各3時間、それを使い切ると1手1分未満に指すようになります。対局の手番は直前の振り駒で決められます。3年半前の「渡辺竜王vsボナンザ」のときは持時間2時間、ボナンザが先手とあらかじめ決められている対局でしたが、今回は違っています。

当日、会場となる工学部2号館の1階にて大盤解説会が行われます。入場料1,000円で受付は予約なし当日自由席のみ、定員500名とのことですので、同3階で行われる対局をリアルタイムの解説つきで観戦されたい方はお早めに会場に足を運ぶのが確実でしょう。解説者は佐藤康光九段藤井猛九段里見香奈女流二冠王ほか。なお当初、大盤解説会とともに指導対局も企画されていましたが、こちらは行われないことになったようですのでお気をつけください。

対局のインターネットライブ棋譜中継が、女流棋士会ファンクラブ「駒桜」特設ページと、日本将棋連盟モバイルにて行われます。いずれも有料会員限定のサービスで、今回は棋譜および映像の無料のライブ中継を行うサイトはありません。事後には、棋譜が公開される機会があるのではないかと思われます。

今回の対局について、コンピュータ将棋VS.清水市代・女流王将特設ブログにて2ヶ月前からブログ形式で詳細な背景記事が書かれています。すでに電子書籍の形でノンフィクショも公開されていますのでご一読を。執筆されているお二人の記者の方は先日のコンピュータオリンピアード金沢大会も取材しておられ、かなり精力的に活動されているようです。また、「渡辺竜王vsボナンザ」のときと同様、テレビ取材も行われているのではないかと想像されます。

最後に「あから2010」の仕様についてですが、169台からなるクラスターマシンという当初の発表から変化してはいないものの、現時点で「使用ハードウェアは当日変更される可能性もあります」という留保がつけられています。169台という構成はクラスタと呼ぶにはいささか慎ましいようにも思われましたが、さらに増強されて、かつてない規模に成長するのかもしれません。

当日は、ネット観戦、もしくは現地解説会に出かけられることを是非ともお奨めしたいと思います。当ブログ主も一昨年の第18回世界コンピュータ将棋選手権でのエキシビション対局の場に居合わせて実感しましたが、対局者・解説者・観戦者が共有する決着の刻の歴史的な空気、それは筆舌に尽くし難いものがあります。一人でも多くのファンが歴史の目撃者となられますよう。

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