オランダで開催中のICGAトーナメント・アムステルダム 2007(6/11~18)にて、コンピュータゲームズワークショップ2007、第15回世界コンピュータチェス選手権とともに、第12回コンピュータオリンピック(Computer Olympiad)が併催されています。将棋部門をはじめいくつかの種目は終了しており、将棋はプレーオフの末、TACOSが金メダルを獲得。棋譜はまだ公開されていないようです。
コンピュータにとって将棋よりも難しいとされる囲碁では、MoGo、Crazy Stoneのモンテカルロ・シミュレーション勢が金・銀を占めました。よく見ると9路盤だけでなく19路盤でもモンテカルロアルゴリズムが多数派になっています。9路盤部門はSteenvreterという新顔が金メダルを獲得していますが、こちらもモンテカルロ囲碁のようです。
コンピュータ囲碁の彩も手がけているYSSの山下宏さんは、モンテカルロ囲碁はかなり有望、と早くから予言していましたが、その通りになってきました。
山田 剛 said
MoGoが金メダルを獲得したため、本文の表記をMoGo、Crazy Stoneの順に修正しました。
実は本文執筆時点で、直接対決の最終戦が残っていてまだ金と銀が決まっていないことに気づいていませんでした(笑)。
山田 剛 said
コンピュータ将棋協会のメーリングリストにて、GGMC Goの加藤さんのレポートを拝読(もとコンピュータ囲碁フォーラムのメーリングリスト向けのレポートだそうです)。加藤さんによれば、9路盤部門の1~8位がすべてモンテカルロベースとのこと。しかもGGMC Goは開発期間わずか2ヶ月とのことで、モンテカルロ囲碁は過去の研究成果をいっぺんに置き去りにしかねない必殺技術のようです。
加藤英樹 said
山田さん,お久し振りです.GPW以来になりますか.お誘いにより書き込ませて頂きます.
>9路盤部門の1~8位がすべてモンテカルロベース
はい,私のプログラムの Core2Duo@3GHz 版の強さは,cgos で 1969 ELO で,
GNU Go を 200 位上回ってます.トップの MoGo は 2500 ですからまだまだですが.
http://cgos.boardspace.net/9×9/standings.html
これでは山下さんがやる気をなくす(?)のも無理はありません(笑.しかし19路の方は
まだ GNU Go もいい位置にいます.
http://cgos.boardspace.net/19×19/standings.html
>GGMC Goは開発期間わずか2ヶ月
書き始めたのが4月の頭,一応動くものができたのが5月の連休中,最後の大きなバグが
取れたのが6月始め (Olympiad直前) でした.これは今回持って行った Playstation 3 版の
話で,PC 版は少し前に動いています.自前の GUI はなく,全部で8千行 (C言語) 程度.
思考エンジン以外は去年の岐阜チャレンジのGG Goのものをほとんどそのまま使っていること,
MoGo のレポートをベースにしていること,が早くできた理由です.
私のウェブサイトに Crazy Stone と MoGo のレポートの和訳が置いてありますので,
よろしければお読み下さい.では.
山田 剛 said
>>3
ありがとうございます。論文はUCTのあたりを追々じっくりと読んでみたいと思います。
しかしCOの棋譜を見ると、ほぼ布石なしで戦いに突入する9路盤だけでなく、19路盤上にモンテカルロでまがりなりにも模様を作っていくのは驚きです。
CGOS9路盤のMonteGNUは、GnuGOのモンテカルロ版とお見受けしますが、いきなり本家より強くなっているようですね。GNUがCOの19路盤のみの出場なのは何故でしょうね…。
dds said
きょうKGSでMoGoの対局をみました。聞きなれぬ名前だったので
検索してこのサイトにたどり着きました。GuNGOは5級止まりですが
MoGoは3級でした。
山田 剛 said
>>5
すでにご存じかもしれませんが、ブログにて山下さんが、伝統的な囲碁プログラムの終焉を予言しています。また、コメント欄の加藤さんによって、MoGoにてUCTと学習アルゴリズムを組み合わせる研究論文の和訳が行なわれ、コンピュータ将棋や囲碁の掲示板にて紹介されています。ご参考までに。
将棋にも応用できると面白いですね。
コンピュータ将棋協会blog said
モンテカルロ将棋の試み…
ブログをはじめとするコンピュータ将棋のWebサイトにて、モンテカルロアルゴリズムで先読みをする将棋プログラムを開発した、もしくは将来その予定、という報告が増えてきました (more…)