Archive for 4月, 2023

電竜戦さくらパイルール2023、Grampusが優勝

前回記事にて紹介いたしました、電竜戦さくらパイルール2023は、スイス式8回戦が4月21日(金)深夜から翌日未明にかけて行われ、Grampusが8戦全勝で優勝しました。おめでとうございます。

先手を引き当てただけで有利、という現代のコンピュータ将棋でみられる非対称な状況において、対局者両者が公平な対局を行うべく考案されたパイルール。電竜戦さくらパイルール2023 勝敗表を見ると、さまざまな初手が指されており、非対称が改善されただけでなく、将棋の内容の多様性も充分に達成されているようです。8回戦、一夜だけでしたが、大変意義深い競技会だったのではないでしょうか。

優勝したGrampusは、仮先手番の4局では☗2六歩を選択して仮後手からの要求で後手番に変わり、仮後手番の4局ではすべて後手番を続行して、結果8局すべてで後手番を持つことになり、これらを全勝しています。準優勝の雪風3は6局で後手番を持って5勝1千日手と負けなしでした。上位9チームまではが後手番で勝ち越しているところを見ると、先手が互角以上に戦える初手はさほど多くないのかもしれません。なお、仮先手になったときの指し手、および仮後手になったときの手番選択は、前もって参加チームから提出された参加者ごとのパイルール設定によって決まっています。

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電竜戦さくらパイルール2023、参加者募集中

第3回世界将棋AI電竜戦は昨年12月に行われ、第1回マイナビニュース杯電竜戦統一ハードウェア戦は昨年末から今年2月にかけて行われました。そして今は第33回世界コンピュータ将棋選手権を来月に控えています。他方、これらとは別に、NPO法人AI電竜戦プロジェクトによる「電竜戦さくらパイルール2023対局会」の参加申し込みが始まっています。

パイルールとは、昨今のコンピュータ将棋のレベルアップによってこれまで以上に先手が有利であることがはっきりしてきた将棋というゲーム(プロ棋士同士の対局では昔から知られていましたが)のルールを少し調整し、先手と後手とを互角にする(「振り駒」という運の要素で有利・不利が発生しないようにする)ことを目的に考案された新たなルールです。これを「2人で1つのパイを公平にナイフで切って分け合う」ことになぞらえて説明します。ここではパイを「1人がナイフでパイを2つに切り、もう1人が2つのうちのどちらかを選ぶ」という昔から知られた方法で、2人が等しく満足するように分け合います。

パイ 2等分パイ 大小2分

パイを思い通りに切るのはなかなか大変ですが、素直に考えるなら、パイを切る方の1人は、上の絵において左側のように2つに分けたパイの面積ができるだけ等しくなるように努力するでしょう。2つのうちのどちらかを選ぶのはもう1人なので、もし右側のように明らかに片方を大きく、もう片方を小さく切ってしまったら、大きい方をもう1人に選ばれて損をしてしまうからです。 Read the rest of this entry »

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