Archive for 6月, 2010

今年のコンピュータオリンピアードは日本開催

追記: 参加申込のページには、「6月30日を過ぎた申込は倍の参加費がかかります」と記されていますので、参加できるプログラムがすでに完成している、もしくは参加の決意を固めている開発者の方々は、速やかに今月中に手続きを済ませておきましょう。アマチュアであれば参加費は世界コンピュータ将棋選手権より安価です。

コンピュータによる知的ゲーム競技を一斉に行うコンピュータオリンピアードは、15回を数える今年、初めて日本で開催されます。会場は石川県金沢市のしいのき迎賓館日程は9月25日から10月2日まで。18回を迎える世界コンピュータチェス選手権も例年どおり併催されます(今年から3部門の選手権になります)。加えて、最先端のゲーム情報学研究が発表されるゲーム情報学国際会議も併催されるアカデミックなイベントでもあります。

今年のコンピュータオリンピアードは、北陸先端科学技術大学院大学の創立・開学20周年を記念して地元の石川県にて行われるものです。コンピュータ将棋の開発者が多数存在する日本での初めての開催とあって、かつてない多数の開発者の参加が期待されています。また、将棋以外のゲームにも関心を持つ日本の開発者にとっても、チェスを含め計17部門の競技が行われるコンピュータオリンピアードの日本開催がめったにないチャンスであることはいうまでもありません。

もちろん、コンピュータゲームの祭典であるコンピュータオリンピアードを観戦するチャンスとしても貴重です。昨日お知らせした情報処理学会創立50周年記念事業として行われる清水女流二冠王とコンピュータ将棋 の対局の直前に行われるビッグイベント。今年の秋、少し長めの休みがとれそうだという人は是非参加、もしくは観戦に金沢を訪れてみてはいかがでしょうか? 開催される競技は、チェス3部門(無差別級、統一ハード、早指し)をはじめとして、将棋、5五将棋、囲碁2部門(9路盤、19路盤)、象棋(シャンチー、中国将棋)、ドラフツ(チェッカー)、コネクトシックス(五目並べから派生した六目並べ)、クリーグシュピール(チェス式ついたて将棋)、幽霊碁(こちらはついたて囲碁かな?)、ヘックス(六角形を敷き詰めた盤を埋めていくゲーム)、ハヴァナ(ヘックスに近いが勝利条件がやや複雑)、アマゾン(将棋と囲碁の両方の要素を導入した感じの10×10盤ゲーム)、コリドール(「壁」の要素を採り入れた9×9盤ゲーム)、アリマア(初形自由配置、一度に複数手を指す方式の変形チェス)です。

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清水女流二冠王vsコンピュータ、対局場と日付決まる

コンピュータ将棋界カレンダー今年秋の目玉、清水女流二冠王とコンピュータ将棋の対局場と日取りが、日本将棋連盟情報処理学会の双方から発表されました。10月11日ということは、第15回コンピュータオリンピアード金沢大会の終了後間もなく、ということになりますね。今秋、金沢、東京と立て続けにビッグイベントが行われることになります。

将棋連盟の発表によれば、解説会に加えて指導対局も行われるそうですので、一般の将棋ファンにとっても楽しめるイベントとなりそうです。一方、情報処理学会の発表によれば、今回の対局は情報処理学会創立50周年記念事業として行われます。実は4月2日の挑戦状の公開の際にも50周年のことはさりげなく触れられていたのですが、今回これを前面に押し出してこられたことで、その意気込みがうかがえます。

なお、持時間などの対局条件や当日の日程については未定、とのこと。

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週刊将棋アマCOM戦自戦記連載 折り返し

週刊将棋にて連載中の「第2回週将アマCOM平手戦」は、最新の6月9日号にて1回戦の5局の自戦記が掲載され、2回戦制で行われた計10局のうち半分の自戦記が掲載されました。現時点での戦績は発売中の最新号を購入して確認していただくことにしてここでは伏せますが、コンピュータ好調、とだけいっておきましょう。

コンピュータ将棋も、人間相手には時折スキを見せることがまだまだあるのですが、最近の棋力向上により、その弱点をつくことはますます難しくなっているようです。相対する東大将棋部チームのメンバーも真剣に対策を用意し、特に序盤作戦を練りに練っている様子が自戦記から伺えますが、一発勝負で狙い通りに運ぶことは、社会人チームをも破って日本一の座についているメンバーでも至難の業のようです。

来週号からは2回戦の自戦記の連載が開始されます。1回戦の持ち時間30分・秒読み60秒から、2回戦は持ち時間10分・秒読み30秒とかなりの早指しになります。また新しい展開、新しい内容の勝負が待ち受けるのか、楽しみですね。

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「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第6回は選手権特集

将棋世界 2010年 07月号 [雑誌]


月刊将棋世界7月号の「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第6回は、第20回世界コンピュータ将棋選手権の10ページ特集です。例年、将棋世界には世界コンピュータ将棋選手権を大きく取り上げていただいていますが、今年は「コンピュータは七冠の夢を見るか?」の連載枠のお陰か、対局の内容についても、またコンピュータの技術面でも、かなり詳細なレポートになっています。

著者の松本哲平さんは、上位プログラムや話題のプログラムの開発者のインタビューを多く掲載し、各プログラムの技術的な紹介をカバーしつつ、注目の対局についても詳細な解説を執筆。当日の会場の写真も多数掲載し、現場の興奮を伝えています。挑戦状の話題ももちろん踏まえつつ、

…現在はすでに3000点を超える将棋プログラムが多く出てきている状況だ。その一方で、そうした強豪プログラムが特定の戦法に手も足も出ないことがある、という興味深い一面もある。コンピュータ対人間というステージでは、コンピュータにも人間にも、まだまだ多くの可能性が残されていそうだ。

と締めくくっています。本稿は一般の将棋ファン向けにはもちろん、コンピュータ将棋研究の動向、その強さを分析する上でも、さらに強いコンピュータ将棋の開発を目指す開発者にも、またプロ棋士とコンピュータ将棋の対局を控え、自分がコンピュータ将棋と真剣勝負を戦うならどう指すか、を考えるプロ棋士やアマチュア強豪にも、多くの示唆を与える内容になっていると思います。

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