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「情報処理」8月号に「コンピュータ将棋は止まらない」

情報処理学会会誌「情報処理」2008年8月号に、第18回コンピュータ将棋選手権の報告が掲載されています。コンピュータ将棋選手権は今や「情報処理」のレギュラー記事になっており、昨年も当ブログにてご紹介いたしました。しかしながら、昨年が5ページの単独記事だったのに対し、今年一昨年以来のミニ小特集となっています。えらく小さい特集かと思いきや、一昨年の20ページを超える26ページの特集。冒頭の記事のタイトルには、Xデーの文字が躍ります。

今回の特集は現役プロ棋士の寄稿が2本立てで、IT研究者や技術者だけでなく将棋ファンにも読んで欲しい内容になっています。日本将棋連盟理事の中川大輔七段が、第18回コンピュータ将棋選手権の4日後の公式戦で棚瀬将棋が指した手を採用して勝利を収めたことは、将棋ファンの間でもすでに有名になっていますが、中川七段がその心情を解説記事で語っています。ご本人による述懐は将棋関係のメディアを含めても初めてかも? 主な内容は、その手が指された将棋を含む、棚瀬将棋vs加藤幸男さん、激指vs清水上徹さんの2局のエキシビション対局の解説です。もうひとつは安食総子女流初段による総評で、こちらは実は一昨年に続いて2年ぶりの寄稿。その実直な内容が2年間でどのような変化を見せたか、読み比べてみてはいかがでしょうか。

情報処理学会会員でない方は、オンデマンドサービスで購入されるか(追記あり)、あるいは「情報処理」が置かれている図書館ないしは書庫をご利用ください。情報系の学部のある大学や高専等の図書館には置かれている可能性が高いでしょう。また情報系の職場にお勤めの社会人の方は、職場の書庫に置かれているかどうか一度お確かめください。

将棋ファン向けの情報ばかり紹介してしまいましたが、さすがに学会誌だけあって、分量的にはコンピュータ将棋の技術に関する論文が主となっています。優勝した激指、準優勝の棚瀬将棋の開発者自身による解説が掲載されていますので、コンピュータ将棋開発者は無論必読。ほか、A級リーグ指し手1号はオリジナルハードウェアということで写真入りの紹介。そしてXデーについては、思い入れに満ちた予測記事が学術誌の中で異彩を放っています。何やら思わせぶりなお話も書かれていますので、噂好きな方も是非ご一読を。

追記(8/23): オンデマンドサービスは記事個別のPDFファイルの販売のみとなっておりますので、雑誌を購入される方は、情報処理学会ウェブサイトの図書購入のページから図書購入・連絡フォームに入り、必要事項を記入して、「情報処理」 Vol.49 No.8をご注文ください。図書購入のページにあるとおり、会員番号等の入力は割引購入のためのものですので、非会員でも購入可能です。税込定価1,680円ですので、オンデマンドサービスで記事を3通以上購入するよりも安くなります。

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