月刊将棋世界7月号にて、第22回世界コンピュータ将棋選手権の紹介記事が掲載されています。記事は昨年に続き松本哲平さんの執筆10ページ。
来年に予定されている第2回電王戦に第22回選手権の上位5チームがプロ棋士と対戦することがすでに決まっていることもあってか、人間との実力比較を意識させる構成になっています。もう人間より強いのではないか、という声が出始めたことを紹介する一方、入玉の展開になったときに見せる不可解な指し手など、コンピュータ将棋の弱点にもきっちり触れています。もちろん具体的な指し手の詳細な分析により、ねじり合いの力強さや終盤の鋭さなども紹介。結語には、レベルの向上を讃える一方で、電王戦ではプロ棋士の強さへの期待もにじませる内容になっています。今やハイレベルな棋戦として誌上でも完全に定着しており、優勝争いや予選枠争いの白熱の過程を追った部分も不自然なところがまったくありません。
丹念なインタビューをもとにした技術の紹介も随所にありますので、コンピュータ将棋開発者にとっても有意義な内容になっています。優勝したGPS将棋から、一次予選通過8チーム中6チームを占めた初出場組が持ち込んだ技術までを紹介。大規模並列化傾向のほか、技術情報の共有により開発を効率化させる一方で各開発者の独自の技術や思想も盛り込む、といった具合に、開発者の醍醐味も紹介しています。
7月号発売からご紹介が大幅に遅れ、そろそろ8月号発売の時期となってしまいましたがご了承ください。