9月29日、当コンピュータ将棋協会の監修による新刊、人間に勝つコンピュータ将棋の作り方が、技術評論者から発刊されました。表紙イラストが示すように、あから2010の開発と女流プロ棋士との対局、およびその周辺を主題としています。
清水市代女流王将(当時)とあから2010の対局からはや2年近く経過しており、この対局に関する書籍もすでにありますが、あから2010に実際に導入された技術の詳細な解説書は「情報処理」などの学術的専門誌を除いて初めてです。
内容が専門的である点は、共立出版のコンピュータ将棋の進歩シリーズに近い分野になりますが、背景としてのコンピュータ将棋の開発史や、プロ棋士との一発勝負という特性を考慮した上で選んだ作戦の解説など、エピソード的な要素を多く含みます。特筆すべきは、アマチュアのエキスパートプレーヤーによるコンピュータ将棋の特徴と弱点の分析が含まれている点で、技術の客観的な評価を重視しているというだけでなく、第2回以降の電王戦に出場するプロ棋士にとっても必読の内容といえそうです。
豪華12名の執筆陣による新刊としてはお手頃なお値段なのではないかと思います。コンピュータ将棋の技術の盛り沢山なトピックスを貴方も是非この1冊で。