第3回将棋電王戦第2局が本日3月22日(土)に行われ、やねうら王が手で佐藤紳哉六段に95手で勝ち。シリーズではコンピュータ将棋チーム2連勝となりました。
本局は初手▲1六歩から波乱含みの立ち上がりでしたが、急な戦いにはならず、先手やねうら王の四間飛車に後手佐藤六段の居飛車穴熊に落ち着いてじっくりした戦いに。その後の38手目△8六歩で、第1回からの将棋電王戦通算8局目で初めてプロ棋士側から仕掛けて戦いが始まりました。対するやねうら王の反撃は桂損を招いてやや無理気味かと思われましたが、6筋からの継ぎ歩攻めを成功させて優勢に。69手目▲6四同角が悪手で70手目△6三香から角がただで取られ混戦になったものの、充分な持時間を残していたやねうら王が結局勝ち切りました。
これまでの将棋電王戦の傾向と同様、プロ棋士側から見ると、おおむねコンピュータ将棋側よりも先に多くの時間を消費して慎重に展開を進め、やや有利と思われる局面に持ち込みましたが、はっきりとした優位が得られないまま中盤のねじり合いで形勢を損ね、粘りも及ばず、という内容でした。第3回将棋電王戦のルールでは、当ブログを含め、戦前にコンピュータ将棋が「丸裸」にされ、なすすべなくプロ棋士に敗れるのでは、との懸念が一部にありましたが、プロ棋士にとっても理想通りに戦うのは容易でない、ということが示されつつあります。持時間が早く減少することで急所の局面、本局でいえば先手の6筋の継ぎ歩攻めに対する受けを読む局面で残り時間に余裕がなく、プロ棋士の敗因になっているという印象を受けます。
本局の直前、既定の開発期間後に提出されたデバッグ版による対局を特例で認めるか、いや認めない、というやりとりがあって議論を呼びましたが、本番でのやねうら王は特に乱れた様子を見せず、悪手はあったものの明らかな誤動作は起こさず無事に対局を乗り切ったようです。ただし電王手くんが佐藤六段の考慮中に目的なく盤上にアームを伸ばして思考や着手の邪魔になったと思われる場面が何度かあり、佐藤六段にとって精神的に気の毒な状況となっていたかもしれません。
来週3月29日(土)の第3局は先手豊島将之七段-後手YSS戦です。YSSがこれに勝てば早くも3年連続のコンピュータ将棋チームの勝ち越しが決まります。