当ブログでは紹介するタイミングを逸してしまった感がありますが、最近とくにユーザが増えたTwitterにて、GPS将棋、大槻将棋、Bonanzaのつぶやきが見られます(大槻将棋とBonanzaは最近お休み中?)。3者とも、プロの重要な対局がネット中継されている日に、実戦に沿った読み筋を披露すべく現れます。3月16日、17日に行われた第59期王将戦第六局でもつぶやいていたGPS将棋、初日に華麗な読み筋を披露しました。5手目に目を見張る手が現れます。
この手は王将戦中継ブログで驚愕の手順として採り上げられました。手の意味が詳しく解説されていますので、中継のページで並べながらお読みください。
この手はタイトル戦の実戦では現れませんでしたが、この新手は今後のプロの将棋に大きな影響を与えそうです。▲4四角と打って確かに先手優勢のようですので、後手はその前に変化する必要がありますが、△5四銀の代わりに△7二銀では▲4三桂成△5四飛▲5五歩△5一飛にやはり▲4四角が厳しいですし、▲1三龍に対して△5五銀では▲6三香成△同玉▲4三龍と王手金取りに迫られてやはり苦しそうです。とすると、さらにさかのぼって△9九馬に代わる手を考えなければならないかもしれません。そうなれば、後手はゴキゲン中飛車の定跡を大幅に見直す必要がありそうです。
コンピュータ将棋がいずれ新しい定跡を切り拓くようになる、ということは、かなり以前から予期されていましたが、それにしてもこれほど派手な手は滅多にありません。ゴキゲン中飛車は現在のプロ将棋で一番の人気戦法ですから、この形に注目しない棋士はほとんどいないでしょう。加えて、劇的な結末を迎えた本局は語り草になること間違いなしの名局となりました。人間にとってもコンピュータ将棋にとってもメモリアルな対局となるでしょう。
インターネットを通じてコンピュータ将棋の強さを世に示せるTwitter。コンピュータ将棋開発者のあなたもいかが?
3/27追記: nonameさんからのコメントで、アマチュアの研究や実戦例があるという情報をいただきました(かくりにっき: ゴキゲン中飛車超急戦の勧め12、ゴキ研: ゴキゲン中飛車vs▲5八金右超急戦【プロ棋界の最前線を探る旅】)。今後の研究やプロの実戦が待たれます。
noname said
タイトルの「定跡」という言葉は言いすぎだと思います。
文中の「新手」という表現も実戦手順ではないのでどうかと思います。
検討結果というのが妥当な表現ではないでしょうか。
「新手」という意味では何年か前の選手権から中川七段(当時)が採用した棚瀬新手を思い出します。
今日の棋王戦も久保棋王が後手番なので、この手順は気になりますね。
山田 剛 said
>nonameさん
>タイトルの「定跡」という言葉は言いすぎだと思います。
そうかもしれません。
ここには、指し手に対するブログ主の判断を入れています。すなわち、この▲4四角は充分有力な手であるので、近いうちにプロの公式戦でも現れるであろう、という判断のもとに、「定跡」と呼んでいます。
プロの公式戦にこの手が現れた場合、この手は公式戦で最初に指したプロの名前で呼ばれるでしょうか? 棚瀬新手と同様、GPS将棋が示した手として記憶されることになると私は考えています。そしてその場合、後手はこれまでの定跡を見直さざるを得なくなるので、結果的に定跡と認められるであろう、という予測を先取りして書いています。
コンピュータ将棋の場合、検討結果と実戦の指し手の間には本質的な違いはありません。
>今日の棋王戦も久保棋王が後手番なので、この手順は気になりますね。
佐藤九段は棋王戦第4局では超急戦には踏み込みませんでしたね。第5局も振り駒次第で再度ゴキゲン中飛車が現れる可能性がありますので、この手が実戦に影響する可能性もあります。ここも見逃せないところです。
noname said
>プロの公式戦にこの手が現れた場合、この手は公式戦で最初に指したプロの名前で呼ばれるでしょうか?
「羽生-久保戦でのゴキゲン中飛車超急戦でGPS将棋指摘の手」と事実のまましか言い様がないでしょう。
重要なのはタイトル戦で羽生が先手で超急戦に踏み込んだという事実が発生したために、GPS将棋の指摘の手が出てきたといことだと思います。
コンピュータ将棋ですから同じ局面であれば同じ指摘をすることでしょう。
しかしタイトル戦で羽生が▲5八金を指さなければ世に出ることはなかったと思います。
「コンピュータ将棋がいずれ新しい定跡を切り拓くようになる」からこそ、こういった
プライオリティは予断を含まずに誰もが納得する形で記載してほしいと思います。
>コンピュータ将棋の場合、検討結果と実戦の指し手の間には本質的な違いはありません。
そうでしょうか?検討モードでは前向き枝刈りを省き全幅探索をしているかも知れません。
たとえそうでなくても実戦で指せるかどうかは実戦をもって確認するしかありません。
山田 剛 said
> コンピュータ将棋ですから同じ局面であれば同じ指摘をすることでしょう。
> しかしタイトル戦で羽生が▲5八金を指さなければ世に出ることはなかったと思います。
その通りです。GPS将棋がたまたまその場に居合わせただけで、この手が他の人やコンピュータであってもおかしくありませんでした。実際、将棋倶楽部24ですでに実戦例がある、との説もあるようです。
しかし、他の多くの新手も偶然が作用して見出されるものです。将来、コンピュータ将棋が定跡を網羅的に調べて新たな最善手を次々と発見する、というシステマティックな方法も採用されるでしょうから、必然的な定跡の開拓こそ本物、とみなすのも一つの考え方でしょう。されど、進歩や進化は必然を待たなければならないものでもありません。
> そうでしょうか?検討モードでは前向き枝刈りを省き全幅探索をしているかも知れません。
> たとえそうでなくても実戦で指せるかどうかは実戦をもって確認するしかありません。
おっしゃるとおり、さまざまな設定が考えられますが、実戦にもさまざまな持時間ルールがあり、適した時間の使い方やアルゴリズムが存在し得ますので、検討モードもそのバリエーションに含めて差し支えないのでは。
通行人 said
しっかし、なんですなあ、、こうコンピューターさんが強くなってきたら、、イカサマも、現れるんでは?と心配します。いや、もう実行されてるかも??
つまり、、対局中に、よく中座なさいますでしょ、棋士先生方、、。
で、トイレにでも、こもって、おもむろに、携帯で自宅へ、、自宅では、2,3台のパソコンが、ボナとかGP、、とかが稼動中で、、。連絡受けた嫁とかが、ボナは45XX(暗号で銀なら、トシヨリとか、、)としてて、GP、、は、88XXだって、、と教える。難解な局面カンニングする、こういうのも、ひよっとしたら?なんてゲスノカングリですが、、。
ゆえに、対局前に携帯などの通信機器持ってないか調べるときが来てるんじゃないか、と。つ、つまらんバカなこと考えてしまいました。
すべてはコンピューターさんが強くなったからですよーん。むふふ、、。
noname said
▲4四角は某掲示板(2009年11月ごろ?)で話題になった筋とのこと。
対応としては△5一玉が最善。また△4二銀に代えて△4二金なら詰む筋にならないとのことです。
ゴキ研 より
http://blog.goo.ne.jp/mmusculus/e/d2adbf20665b4e29d82387e6ce9b9816
山田 剛 said
> 通行人さん
率直に言ってこれは心配ではあります。
対局者から席を外す自由を奪うことも難しいと思われますので、本気でやろうとするとできてしまう状況ではないでしょうか。スポーツ選手がドーピングを行うよりはお手軽でしょう。
山田 剛 said
> nonameさん
最新情報ありがとうございます。
やはりGPS将棋新手と名付けるわけにはいかないかもしれませんね。
GPS将棋の価値は、網羅的に読んだ結果、先手優勢と明確に主張したところでしょうか。
評価は、今後の研究を待つ必要がありそうですね。
通行人 said
山田さーん、ひつこくも、ゲスの警鐘?のつづきでーす。
携帯もってない、とチエックしても、、公衆電話などから、、暗号で「献立は?きょうははやく帰る、、」などと、「献立」が暗号で、、受けた嫁などは、45xx、、
途中で席立つときは、立会人などが、同行し、外部と連絡しょうとしたら、対局中は電話禁止ですと、、厳重にしないと、、。いけないかも、です。
昔の頭だけのたたかいと違ってハイテクが、、出現してますから、、。
日本将棋連盟、どーする、どーする?でしょうか、、。