#IPSJ 情報処理学会 コンピュータ将棋「あから」プロジェクト終了宣言
学会創立50周年記念事業として取組んだ「あから」プロジェクトは女流王将清水市代様との対戦以来5年を経過し、所期の目的を達成したので終了を宣言いたします。
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— IPSJ.com (@IPSJcom) 2015, 10月 11
本日付で発表された、コンピュータ将棋プロジェクトの終了宣言は、昨日の時点でNHKなどが大きく報じ、すでに広く話題となっています。
今回の終了宣言の対象となったのは、挑戦状の形で5年前に公表された、情報処理学会の50周年記念プロジェクトです。5年前の今日、清水市代女流王将(当時)に勝利したあから2010は、その後羽生善治四冠王をはじめとするトッププロ棋士との対局が期待されたものの交渉が成立せず、日本将棋連盟との間で合意された対戦は1局のみにとどまっていました。その間、コンピュータ将棋がプロ棋士と力比べをする場を(株)ドワンゴと日本将棋連盟が主催する電王戦に譲ることになりますが、多くが団体戦の形で行われた電王戦でのコンピュータ将棋とプロ棋士との対局は、これまでコンピュータ将棋側が通算10勝5敗1持将棋と大きく勝ち越しています。
電王戦は、叡王戦と将棋電王トーナメントの優勝者同士が雌雄を決する形でリニューアルして来年も開催されることがすでに決まっており、また今年の電王戦FINALではプロ棋士チームが3勝2敗と勝ち越しました。しかし、第3回電王戦と電王戦FINALでコンピュータ将棋が動作したのは(株)サードウェーブデジノスが提供するGALLERIAシリーズの高性能パソコンであり、またリニューアル後の電王戦も同様となります。10の224乗という巨大数を意味する阿伽羅(あから)の名を冠したあから2010に使用された巨大クラスタコンピュータの技術がこの舞台に参戦できる見込みは、今後もないものと思われます。今回の宣言で参照されている参考文献には、昨年時点での戦績をもとに今年がトッププロ棋士の実力をコンピュータ将棋が上回る時期であると推定される根拠が示されていますが、このほか、最先端技術をすべて投入してトッププロ棋士と対戦する機会さえあれば、コンピュータ将棋の実力が明らかに上回るであろう、との判断があるものと思われます。
詳細は、情報処理学会-コンピュータ将棋プロジェクトの終了宣言のリンク先をご覧ください。宣言は、
これまで多大なご協力をいただいた将棋連盟を始めとする将棋関係者の方々に深く感謝いたします.最近はプロ棋士もコンピュータ将棋を検討の道具として用いていると聞いています.またコンピュータ将棋が初めて指した新手をプロ棋士が採用することも増えています.対決のときが終わって人間とコンピュータが協調するという本来の姿になりつつあることを嬉しく思います.今後は将棋を題材として得た成果を情報処理の技術一般に活かしていく所存です.
とむすばれています。また、情報処理学会誌2015年11月号にこの宣言に関する記事が掲載されることが予告されています。
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