第19回世界コンピュータ将棋選手権の出場者/観戦者の皆様、お疲れさまでした。今年も、当協会の5月例会は選手権の直後です。
- 日時: 5月9日(土) 15:00~18:00
- 場所: 早稲田大学 早稲田キャンパス(旧西早稲田キャンパス) 1号館 3階 310教室
- 主な話題: 第19回世界コンピュータ将棋選手権
- 優勝したGPS将棋の開発者の金子さんの講演があります。
より大きな地図で 早稲田大学早稲田キャンパス1号館 を表示
場所はいつも例会が行われている正門の近くの1号館です。第19回世界コンピュータ将棋選手権が行われた国際会議場よりもわかりやすい場所ですのでお間違えのないよう。
コンピュータ将棋協会の例会には、コンピュータ将棋協会の会員であればどなたでも事前申込なしに参加していただけます。入会につきましては、こちらをご参照ください。
また、例会恒例となりました対局サーバテストを 今回も実施いたします。参加ご希望の方は、将棋プログラムがインストールされた、イーサネットへの接続が可能なPCをご持参ください。事前のお申し込みは 不要です。ログイン名の登録がお済みでない方は、当日の設定を受け付けます。次回以降の選手権出場を目指しておられる方も、お気軽にお申し出ください。
例会への多数のご参加をお待ちいたしております。
山田 剛 said
例会終了。3月に続き多数の参加者で盛会でした。それも選手権を終えたばかりでお疲れのはずの選手の皆さんが多数。今回の選手権の結果と、優勝者のGPS将棋の講演は、多くの開発者を刺激するものだったようです。
GPS将棋についての金子さんの講演では、ブログ記事にて紹介された技術資料に基づく説明が行われました。ボナンザ学習法にならって学習によって強化されていますが、評価項目に独特のものが多く含まれているようです。また、他の多くのライバルが開発した探索技術も実装しており、比較的シンプルなイメージのボナンザに比べて多彩なテクニックを持っている印象。
また、例会冒頭に「どうぶつしょうぎ」が紹介されましたが、GPS将棋の田中さんとうさぴょんの池さんがすでに解析を進めていて、田中先生曰く「最善を尽くせば千日手」という結論がもう出ているそうです。探索局面数が約2億局面あったそうで、意外に難解なゲームのようです。
北尾まどか said
コンピューター将棋選手権、運営お疲れ様でした。
初めてお邪魔させていただきましたが、会場の熱気に感動しました。
素晴らしい大会が今後ますます発展していきますように!!
どうぶつしょうぎ「探索局面数が約2億局面」とは驚きです。
田中さま、うさぴょん様、解析ありがとうございました。
うさぴょんの育ての親)池 said
北尾様
田中先生と私とで違う手法で解析を進めています。
大雑把な説明をすると、
田中先生の方は、終局図から一手ずつ前に戻していく方法
私の方は、初手から全部をしらみつぶしに探していく方法
で解析を進めています。
田中先生の方は既に引き分けの結論を出されましたが、これも一応「プログラムにバグがなければ」引き分けとご理解下さい。
私の方は、初手から60手ほど進めた状態ではまだ結論の出ていない局面がある、という状態で、解析にはまだまだ時間がかかりそうです。<これもプログラムにバグがなければ、ですが。
田中先生曰く、引き分けになる局面から一手間違えた場合、相手が勝つまでに100手以上かかるような局面も存在するようで、「どうぶつしょうぎ」は見た目以上に難しいゲームであると思います。
うさぴょんの育ての親)池 said
追記:田中先生の手法の方は、『全ての終局図を作って』そこから一手ずつ戻して行くと言うのが正しそうです。
山田 剛 said
>北尾まどかさん
あの情熱と人間くささを体感していただければ幸いです。
どうぶつしょうぎは、しばらくすると田中先生のページで解析論文が読めるようになるのではないかと思います。池さんの説明された田中先生の方法は、シンペイの解析のページに書かれている後退解析(retrograde analysis)という方法で、チェッカーの完全解析でも用いられました。
コンピュータ将棋の開発者に隙を見せると、たちまち解析されてしまいます(笑)。
北尾まどか said
>田中先生曰く、引き分けになる局面から一手間違えた場合、相手が勝つまでに100手以上かかるような局面も存在するようで、「どうぶつしょうぎ」は見た目以上に難しいゲームであると思います。
こんな広がりがあるなんて…!!
理論も計算もなにもなく、個人レベルの試行錯誤で作り出したどうぶつしょうぎ。
この形にたどりついて、そして「引き分け」という結末になったことを神様に感謝。
たった3×4マスでこんなに難しいなら将棋の宇宙はいったいどれだけ広いのでしょうか。
池さま、山田さま
知識のない私にいろいろ教えてくださってありがとうございます。
早速田中先生のホームページ拝見いたしました。
どうぶつしょうぎについてアップされるのがとても楽しみです☆
コンピューター将棋協会の方々が、興味をもってくださって本当に嬉しいです。
ありがとうございました。
田中哲朗 said
池様
詳しい説明をありがとうございました.「プログラムにバグがなければ」というのは全くその通りで,シンペイの時も発表までに何度かバグが見つかりました.今回も今のところ時間がなくて,テストができていないので,発表の時までには十分テストをしたいと思います.また,別の方法で同じ結果が出れば補強材料になるので,池様の解析方法でも結果が出るのを期待しています.
うさぴょんの育ての親)池 said
>田中先生
私の方は、千日手関連について、『同一局面が現れたら千日手と看做す』として実装してしまっても問題がないかどうか考えてます。
仮にこれで問題なければ、大分探索ノードが減らせそうなので。
こちらは基本、プログラムを書くのは土日で、実行してるのが平日という状態なので、バグを見付けても次の週末まで直せない(苦笑)なんていう状態なので、結果は気を長くしてお待ち頂けると幸いです。
山田 剛 said
>後退解析
よく考えたら、「詰将棋の逆算法」もしくは「フェアリー詰将棋(チェスプロブレム)のレトロ」と書いた方がわかりやすかったですね。
詰め上がりのわかっている詰将棋をたくさん創っていく感じですが、王手の連続でなくてよいので、すべての局面をしらみつぶしにすることになります。
田中哲朗 said
「プログラムにバグがなければ」と書きましたが,案の定バグが見つかってしまいました.現在,得られている結果は「78手で後手勝ち」ですが,まだバグが残っている可能性があるので結論を出すにはしばらくお待ちください.
不透明人間 said
どうぶつしょうぎで結論を出し、しかもそれを公表するなんて、野暮なことだとは思いませんか?
山田 剛 said
>不透明人間さん
今回は、どうぶつしょうぎの考案者である北尾まどか女流初段から例会にてどうぶつしょうぎの紹介がありまして、コンピュータで分析してほしい、という依頼があったものです。そうしたらすでに着手している人が2人もいた、という成り行きでした。その3人の方々がこちらでお互いに好意的なコメントを残しておられますので、有意義であったのではないでしょうか。
これだけだとお答えになっていないので、私見を申し上げます。
これほどまでに結論を急ぐのか、という気持ちもまったくないわけではありません。
ですが、ゲームを真剣に考えると、できるところまで突き詰めるのは必然ではないかと思います。
将棋のプロ棋士も、突き詰めています。仮に将棋の最善手順が千日手であることが高い確率で予想されたとしても、将棋に対する情熱が冷めることはないでしょう。
不透明人間 said
>山田剛さん
レスありがとうございました。山田さんの考えは理解できると思います。しかし危惧もしています。おおげさにいうと、科学の暴走に対する恐怖のようなものです。
せっかく子供たちのために考案されたゲーム。ファンタジーの要素が多いままに残してあげてはいかがでしょうか。サンタクロースの正体をあばくのは大人げないのでは?と考えたしだいです。
山田 剛 said
>不透明人間さん
そうですね。サンタクロースは大人なら誰でも知っているようにおとぎ話です。でも子供たちには夢を与え続けています。それでいいのではないでしょうか。
たとえば、五目並べ(連珠のように黒番に制限を加えないルール、という意味の)は黒が必勝ですが、初心者ならその結論に関係なく楽しめます。たとえ結論が出ていても、知識に頼らず自分なりに考える楽しさは不滅だと思います。
通行人 said
不透明人間さんがイラだつのはわかる。
どうぶつなんたらの関係者で、これから大いに売り出していこう、、の矢先に、結論でた!とやられては、、まずい、と考えたんでしょう。
結論でても、山田さんのおっしゃるように、自分なりに、考える、、不滅、、これですって。大丈夫ですよ。
こどもたちと大いにあそんでくださいませ、、。
あ、、連珠、これも、必勝法がコンピュータでなく、昔ですが人間が発見しております。
ゲームとしては、そこで「オワリ」なんですが、なんと、みっともない妙手あみだしまして、現在も、無事つづけられております。その必勝の「手」を、指してはいかーん、禁手とする、、というぶっさいくな妙手で。わはは、、わらっちゃいますわ。
こういうふうに、どうぶつ、、も、最悪の場合、禁手をつくれば、無事つづけていけますから、、ご心配なく。
不透明人間さん、大船?です、、大丈夫ですよ。
山田 剛 said
>通行人さん
連珠のルールは、技術の進歩によってルール自体も進化している、と考えればよろしいのではないでしょうか。
どうぶつしょうぎも、探索空間が大きく変わらないのであれば、何度ルールを変えてもすぐさま結論を出されてしまうでしょうね。ただ、その繰り返しでルールを洗練していくのも、文化の発展の一形態だと思います。
不透明人間 said
>通行人さん、レスありがとうございました。
>山田剛さん、なんどもフォローいただきありがとうございます。
私はLPSA関係者でも業者でもありません。将棋ファンとしてあたたかく見まもっているだけです。どうぶつしょうぎは、もはや考案者の手を離れて独り歩きをはじめた感がありますね。
通行人 said
独り歩きをはじめた、、って、面白ければ、いいのですが、買ってはみたが、ツマンネエ、と、なって、ほったらかしなら、罪作りじゃないの?
私の知ってる、5五将棋というのがあるんですが、これのほうが格段におもしろく、将棋と似ていて、お子様にも、オススメです。こっちのほうが将棋の普及には、よろしいんじゃないかなあ?
北尾さんと違って、創案したひとが無名で、なかなか注目されず、気の毒ですわ。
山田 剛 said
>通行人さん
http://www.google.co.jp/search?q=%EF%BC%95%E4%BA%94%E5%B0%86%E6%A3%8B+site%3Awww.computer-shogi.sakura.ne.jp&lr=lang_ja&ie=utf-8&oe=utf-8&aq=t
当ブログでも5五将棋は繰り返し話題にしておりますので、よろしければご覧ください。コンピュータ将棋界ではかなり注目されていますよ。
どうぶつしょうぎを遊び尽くして、3x四の盤が物足りなく思えてきたら、次に5五将棋がお勧めですね。
でも、遊び尽くすまでには、かなりのやりこみが必要だと思います。
鈴木康夫 said
追試も意味が有るかと思いまして、どうぶつしょうぎの解析を行いました。
初期局面から手数の反復深化と、df-pnをマルチスレッドでハッシュを共有して行いました。
Core2Duo2.4Gで10時間ほど掛かりました。
結論は「後手勝ち」でした。df-pnで単純に探索を行ったので最善手順は不明です。
局面の勝ち負けしか記憶していないないため、単純に再帰で証明木を表示させようとすると1000手以上の深さにまでなってしまいます。(千日手チェックは行っています)
杜撰ですが「後手勝ち」の結論を強化出来たと思いましたので報告します。
山田 剛 said
>鈴木康夫さん
追試お待ちしておりました。やはり後手勝ちなのですね。
10時間とはかなりの速さですね。やはりdf-pnの威力でしょうか。
詰将棋でなくてもdf-pnが有効だとすると、意味の小さくない成果といえるかもしれません。
しかし1000手以上とはすごいですね。どんな手順なのか見当もつきません。
当ブログで単一エントリのコメント数が20に到達したのは初めてです(スパムを除く)。
せっかく盛り上がったので、そろそろどうぶつしょうぎを主題にしたエントリを書いて成果を広報したいと思います。
鈴木康夫 said
すみません。バグが有りました。現在計算をやり直しています。
バグの所為で不当に少ない証明数、反証数をハッシュに登録していたみたいです。
10時間と言う短時間なのはそのお陰だったみたいです。
先手勝ちの証明数と後手勝ちの証明数は計算の途中ですが前者が圧倒的に大きいので、後手勝ちの結論は覆らないと思われます。
鈴木康夫 said
バグを修正して再実行した結果、24557秒で後手勝ちと結果が出ました。
ハッシュはセーブしてあるので証明木表示プログラムを改良して、詳しい報告をします。
山田 剛 said
>鈴木康夫さん
7時間弱。これは速い。ご報告楽しみにしています。
こうしてみると、どうぶつしょうぎはアルゴリズムのベンチマークとしても面白い存在かもしれませんね。
df-pnの記録を塗り替えるアルゴリズムのチャレンジも見てみたい気がします。
コンピュータ将棋協会blog said
どうぶつしょうぎ読み切り?
当ブログでもお知らせしたコンピュータ将棋協会5月例会にて話題になり、コメント欄でも多くの結果が公表されたどうぶつしょうぎ。現在の結論は、後手(そらチーム?)の勝ちらしい…