本日五稜郭にて行われた将棋電王戦FINALの第3局、▲稲葉陽七段 – △やねうら王の一戦は、116手でやねうら王が勝ちました。団体戦としてはコンピュータ将棋チームが今シリーズ初勝利で1勝2敗とし、プロ棋士チームの勝ち越し決定はお預けとなりました。
本局の戦型は、【電王戦FINALへの道】#28の練習対局で現れたのと同じく、先手稲葉七段の横歩取りに対してやねうら王の3三桂型。練習対局と同じく▲9七角と上がって△8九飛成を誘い、▲8八角と龍を閉じ込めて優位に立つ策に出るかと思われましたが、稲葉七段はこれを見送り、普通の中住まいの形に構えました。そして昼食休憩後、稲葉七段の47手目▲2七歩が強気な一手で一気に激しい戦いに突入。局後の記者会見にて、やねうら王の開発者の磯崎元洋さんは、電王手さんの動作時間があるため練習対局のときより考慮時間が長くなり、やねうら王の序盤の指し手が変化した、との見解を示しました。対する稲葉七段は、△8九飛成を許すと後手に暴れる手順が生じる形であったため▲9七角を断念したこと、また42手目△1三角の形が後手にとって非効率とみて決戦に踏み切ったことを、局後の記者会見で明かしました。
稲葉七段の注文で開戦となったにもかかわらず、後手のやねうら王は駒損ながら飛を成り込んだ後、角を交換、66手目△6六桂の王手と好調な攻め。大盤解説会場では夕刻に早くもYSSが-2000を超える評価値、すなわち後手勝勢を示しました。稲葉七段は、駒得がみるみる大きな駒損に変わっていく代償に入玉を目指すことに。
2年前の第2回電王戦、第4局の塚田泰明九段 – Puella αが思い出される局面となり、勝敗はコンピュータ将棋の苦手な入玉模様の指し方にかかってきました。やねうら王が先手玉を逃がせば引分、もしくは逆転負けも考えられる展開になりましたが、114手目の△2六銀が鋭い捨て駒で、先手玉を下段に引き戻して寄せ切りました。引き戻される前に入玉を確定させる指し方を先手が選べたようにも見受けられましたが、稲葉七段は駒損が大きすぎるため入玉を急いでも捕まえられると判断し断念したとのこと。今日のやねうら王は、最後までコンピュータ将棋の弱点を突く隙を与えなかったようです。
来週4月4日(土)の第4局は、▲ponanza – △村山慈明七段戦が奈良・薬師寺で行われます。団体戦としては依然としてプロ棋士チームを追いかける立場のコンピュータ将棋チームですが、準電王・電王がともに勝てば、将棋電王戦FINALもまたコンピュータ将棋チームの勝ち越しで終わることになります。
yu said
>>準電王・電王がともに勝てば、将棋電王戦FINALもまたコンピュータ将棋チームの勝ち越しで終わることになります。
こんな当たり前のことをあえて書かれると、コンピュータ将棋チームは逆転勝ちすると確信しているような感じを受けました。
協会のブログだから良いっちゃ良いですけど、逆にこれで私は人間側を全力で応援したくなりました。
将棋電王戦FINAL第3局、やねうら王が稲葉七段に勝ちコンピュータ将棋チーム1勝目を挙げる! | rui live note said
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