第3回電王戦は「公募」「予選」「ホモロゲーション」で開催

本日8月21日午後、第3回電王戦の発表会が行われ、その模様が生放送(予約可能な会員のみ視聴可能)されました。多くのファンが期待したとおり第3回電王戦が実施されることが正式に発表されました。

第3回電王戦は、日本将棋連盟プロ棋士5名とコンピュータ将棋5チームによる団体戦であること、3月から4月の間に5局の対局が行われる点が第2回電王戦と同一です(開催は2014年)。第2回と異なる主な点は以下のとおりです。

  • 出場するコンピュータ将棋は公募されます。参加受付は本日から9月29日(日)までこちらのサイトで行われています。
  • 公募されたコンピュータ将棋は「将棋電王トーナメント」という予選を兼ねた大会に参加し、上位5チームが第3回電王戦への挑戦権を得ます。「将棋電王トーナメント」は総額500万円の賞金が用意されています(分配方法などの詳細は未定のようです)。
  • コンピュータ将棋は主催者が用意した機器を使用しなければなりません。ルール文書(PDF)によれば、6コアの汎用CPUで動作する統一機器のようです。前回のGPS将棋のような大規模なシステムは使用できないことになります。
  • 第3回電王戦出場棋士は、対戦するコンピュータ将棋と同一のハード・ソフト環境で事前に練習対局する機会が得られます。前回もコンピュータ将棋側の好意で一部のソフトウェア(同一性は保証されていない)がプロ棋士側に提供されましたが、今回は制度化され参加全棋士に本番と同一の環境での練習が約束されています。

ハードウェアを統一する方式は、かつて国際将棋フォーラム内で行われていたコンピュータ将棋王者戦で採用されていました。現在は世界コンピュータチェス選手権ソフトウェア部門で採用されています。今回それらの場合と異なるのは、出場棋士の練習対局に本番と同一の環境を提供しなければならないことから、本番以前に開発を凍結する必要があると考えられる点です。言わば、モータースポーツでホモロゲーション(制約を伴う機器認証)と呼ばれる方式に近いルールになっています。

上記のとおり、第3回電王戦に参加できるコンピュータ将棋はトーナメントの結果で決まりますが、プロ棋士の側は屋敷伸之九段の参戦が決まっています。他4名もほぼ内定しているとのことで、第2回よりも高段の棋士が出場予定であることが示唆されていますが、タイトル保持者は出場しない予定のようです。

前回の第2回電王戦では、プロ棋士チームは1勝1分3敗とコンピュータ将棋チームに負け越す結果となりましたが、次回第3回はプロ棋士チームが巻き返すことが期待されています。ルールも前回に比べて明らかにプロ棋士側に有利になっています。特に事前練習の機会が保証されていますので、多数の練習対局を重ねてコンピュータ将棋に勝つ手順を見つけておいて、それを本番で忠実にリプレイすることができれば、今度はプロ棋士チームにも大いに勝機があるのではないでしょうか。

22 Comments »

  1. あb said

    開発は後でもできるって書いてあるはずですが

  2. 高橋大樹 said

    >特に事前練習の機会が保証されていますので、多数の練習対局を重ねてコンピュータ将棋に勝つ手順を見つけておいて、それを本番で忠実にリプレイすることができれば、今度はプロ棋士チームにも大いに勝機があるのではないでしょうか。

    何か嫌味な言い方ですね。この文章を書いた人の人間性がわかります。

  3. H said

    コンピュータはかなり不利ですね。
    将棋連盟は敗けを認めたのでしょう。
    まあ、角落ちくらいのハンディ戦ですので、良い勝負になるでしょうか?

  4. LL said

    高橋さん、それってアンチコンピュータ戦略の基本じゃないんですか?
    どこらへんが嫌味に読めたんでしょうか?

  5. 激指ユーザー said

    >何か嫌味な言い方ですね。この文章を書いた人の人間性がわかります。
    まさに貴方の仰るとおりですね。
    この方の文章はあまりに恣意的過ぎる。
    例えばこの文言→6コアの『汎用』CPUで動作する統一機器
    インテルやAMDのx86CPUは、スパコンや大規模サーバーの分野で使用されているCPUも、デスクトップやノートPCに使われているCPUも演算機部分は全く同じ。
    異なっているのはメモコンやQPI/HTと言った足回りとコアの数(それに付随しているキャッシュの容量)だけなんですよね。
    汎用CPUなどといって、まるで劣っているかのような先入観を与えており、あまりに不適切な表現であります。
    そもそも一般的な市販アプリが4C8T対応に留まっている現状を鑑みれば、趣味ソフトである将棋ソフトも4C~8C程度に最適化するというのがスジというものでしょう。
    大規模クラスタを構成し、無駄な電気を垂れ流していた今までがおかしかったというものです。
    今まで卑怯なクラスタを使いプロの先生方、及び伝統ある将棋会を貶めていた事を猛省し、ソフト開発者達は正々堂々と適正なレギュレーションの元でその力を競っていくべきであると私は考えます。

  6. KS said

    対局者が同一のハード・ソフト環境で事前に練習対局した場合は、そのソフトと何局指して結果は何勝何敗だったかを教えてほしいです。

  7. どっちでもいい said

    カスパロフと対戦したディープブルーは当時としてはモンスターのようなスパコンでした。それが現在ではスマートフォンに搭載されたチェスプログラムにも人間は手を焼く時代になっています。
    将棋もそういう時期にさしかかってきたのでしょう。もう巨大クラスタのスパコンを相手にしたら人間(プロ棋士)は勝てないと言ってるようなものでしょう。
    しかし、これはもう勝負ではなく、プロ棋士が将棋ソフトのデバッグをして穴を捜した結果を我々は視聴するというもので、わくわくした面白みが無くなります。
    来春の第3回は第2回のように盛り上がるとは思えません。

  8. gg said

    このルールだと他のソフトあるいは対局するソフト自身を使って
    必勝手順を探すことができる
    これではプロ棋士である意味がない

  9. bf said

    長続きさせようと思ったらこうする他無いという気はする。
    三浦さんが負けた以上それより強いと言える棋士って5人ぐらいしか居ないし。
    彼らが負けたらさすがに電王戦終了なのは目に見えてる。
    ドワンゴとしては5回ぐらいまではやりたいんでしょう。

  10. 玉ねぎ坊や said

    ひとつ皆さんが勘違いされているのが、この電王戦が1vs1の一騎討ちではなく、5vs5の団体戦の戦いだということ。そうなると、出場するピュータ側にも公平な戦いの場が必要だということ。ハードを強化すればより強くなることが前回で解ったので、 プログラムの優劣にしたほうがコンピュータ開発者サイドにとっては歓迎する人も多いはず。ただ真の頂上決戦ではなく、麓でのお互い頂上を目指した戦いに変わった。だから来年の電王戦は3回目だがある意味ここからが始まりの本当の電王戦の始まりだと考えましょう。そうすれば十分楽しめます。

  11. 中さん said

    プロ側はコンピュータの特徴を事前研究して対戦できることは良いことだ。
    コンピュータもクセを読み取らせない工夫をしていけば、互いに将棋の進歩に貢献できるのでは
    ないでしょうか。練習対局の勝率も公表してもらえれば興味深い。次回はプロ側が勝つ。
    来年はコンピュータが勝つ。

  12. かめちゃん said

    将棋電王トーナメントで気がかりな事がありまして投稿します。
    将棋電王トーナメントでライブラリの使用はどうなるのでしょうか?
    ライブラリは商用利用不可だったかと思いますが、ライブラリを使用したプログラムが賞金の出る大会に出場できるのでしょうか?
    1. ライブラリ作者さんの判断?
    2. 大会主催者の判断?
    3. コンピュータ将棋協会が指針を決定?
    どうされるのか気になっています。

  13. >かめちゃんさん

    ライブラリについては、ライセンス上使用可能と認めているものであれば問題なく使用できるのではないかと思われます。したがって使用可能性はライブラリ個々の事情によります。
    より正確な情報は電王戦の主催者にお尋ねください。

  14. かめちゃん said

    > 山田 剛 さん

    将棋電王トーナメントルール(PDF)を確認しました。
    > 使用可能ライブラリ
    > 「世界コンピュータ将棋本大会使用可能ライブラリ規程」によって認定されていた世界コンピュータ将棋本大会使用可能ライブラリ
    と書かれていました。

    電王トーナメントでのライブラリ使用は、世界コンピュータ将棋選手権のライブラリ使用ルールと同じようです。
    お騒がせ致しました。
    アドバイス有難うございました。

  15. 補足しますと、このルールはライブラリが間違いなく使用できるものであることを保証するものではないと思われます。
    使用可能性については、ライブラリ作者への確認も必要と思われます。
    ライブラリを使用される開発者は、確認をお忘れなく。

  16. ・・・。 said

    「多数の練習対局を重ねてコンピュータ将棋に勝つ手順を見つけておいて」のくだりはプロ棋士に充分配慮したものでしょう。
    実際は勝つ手順を見つけるなんてソフト同士に対戦させるのが早いんですから。

  17. プロ初の公開アドバンスト将棋大会 あす開催

    前回のブログ記事で割愛してしまいましたが、第3回電王戦の関連イベントとして、電王戦タッグマッチがあす8月31日(土)に開催されます。内容はこちらのサイトにあるように、プロ棋士が…

  18. […] 195図、金ポナは▲6五飛と寄って詰みで勝ちのはずが、△5九玉のゴールで終了。詰みの過程だとまだ、簡単にトライを許してしまうのですね。人間が組んでいて手を出せるとしたら、棋力の低いアマチュアCでも、▲4九金と寄ることはできるだろう。 前回の第2回電王戦では、プロ棋士チームは1勝1分3敗とコンピュータ将棋チームに負け越す結果となりましたが、次回第3回はプロ棋士チームが巻き返すことが期待されています。ルールも前回に比べて明らかにプロ棋士側に有利になっています。特に事前練習の機会が保証されていますので、多数の練習対局を重ねてコンピュータ将棋に勝つ手順を見つけておいて、それを本番で忠実にリプレイすることができれば、今度はプロ棋士チームにも大いに勝機があるのではないでしょうか。 コンピュータ将棋協会blog […]

  19. […] アンチコンピュータ戦略(116) 投稿日時: 2013年9月5日 投稿者: mtmt 前回の第2回電王戦では、プロ棋士チームは1勝1分3敗とコンピュータ将棋チームに負け越す結果となりましたが、次回第3回はプロ棋士チームが巻き返すことが期待されています。ルールも前回に比べて明らかにプロ棋士側に有利になっています。特に事前練習の機会が保証されていますので、多数の練習対局を重ねてコンピュータ将棋に勝つ手順を見つけておいて、それを本番で忠実にリプレイすることができれば、今度はプロ棋士チームにも大いに勝機があるのではないでしょうか。 コンピュータ将棋協会blog […]

  20. あゆみ said

    第2回がなぜあそこまで盛り上がったか?
    歴史的な背景という側面もありますが
    それなら5局全部盛り上がらなかったと
    思います。
    ソフト開発者と棋士との人間同士の対決
    という泥臭さがあったからだと思います
    1局ごとにドラマチックな展開で飽きが
    来なかったものすごい展開でしたから
    なんか3回目は感動できるか不安です

  21. […] の条件で、1勝4敗じゃあなあ。 284 名無し名人 14/05/05 00:24 XRlmy1i6.net >>281 確かに事実を言っても煽りに聞こえるし、謙遜しても煽りに聞こえる どうしようもないなw 291 名無し名人 14/05/05 00:35 PQXOajOo.net >>281 >間違いは何も言ってない >事実しか言ってないし、この程度では煽りとは言えない まあね。たしかにその通りかもしれん。でも結局は受け取るほうがどう思うかなんだよね 例えば、プロ野球の投手が特定チームに滅法強くて、実際にそのチームを完封した後のヒーインで  「チームAにはここ数年、全く打たれていないので、今日も負ける気がしませんでした」 とか、他のチームに負けた際に記者に対して  「チームAを全く相手にしない僕に勝つなんて、チームBはとても強いチームですね」 なんてことを言う選手が実際にいると思うかね? 少なくとも俺は知らんのだがね 298 名無し名人 14/05/05 00:46 7vgTmupX.net >>273 http://www.computer-shogi.sakura.ne.jp/blog/denosen_iii_public_announcement/『ルールも前回に比べて明らかにプロ棋士側に有利になっています。特に事前練習の機会が保証されていますので、 多数の練習対局を重ねてコンピュータ将棋に勝つ手順を見つけておいて、それを本番で忠実にリプレイすることができれば、今度はプロ棋士チームにも大いに勝機があるのではないでしょうか。』 元々こういうことを書くような人たちだから。 299 名無し名人 14/05/05 00:49 XRlmy1i6.net >>298 第三回電王戦でCSAが締め出されたしルールとか決める話し合いで連盟との仲が険悪になったんだろ あとは神聖視してたからこその大きな失望 307 名無し名人 14/05/05 01:01 F2m9UEiR.net >>273 第三回のルールに失望したように見える。 http://www.computer-shogi.sakura.ne.jp/blog/denosen_iii_public_announcement/ […]

  22. 将棋電王戦、次回がFINAL

    8月29日、「将棋電王戦に関する記者発表会2014」が行われ、その模様がニコニコ生放送にて中継されました(予約可能な会員のみ録画映像を視聴可能)。2015年3月~4月、今年の第3回に続き…

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