月刊将棋世界3月号の連載「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第14回は、ひと言でいえば「理論編」と呼ぶべき内容。形勢判断・読み・構想力という、将棋を指すうえでの三大要素と呼ぶべきテーマについて、人間とコンピュータの方法論の違い、長所と短所について議論しています。コンピュータ側の用語を借りれば「ソフトウェアアーキテクチャ」あるいは「モデリング」の問題、といえそうです。
このように紹介すると何やら哲学的な内容に見えてしまいますが、その点はこの連載らしく、いつも通り図面や手順を使った具体的な思考や分析によるわかりやすい裏づけがなされています。現在のコンピュータは、ひたすらブレのない形勢判断と膨大な読みによって、指し手の精度を高める手法を採っていますが、それは読みの深さの制約にもなります。対する人間は、現れた局面に対して都度「モデリング」を行い、勝つための読みの効率を高める手立てを多数身につけており、考え方は多次元的になります。コンピュータはそれらの技術を習得すべきか、いかにすれば習得できるか…について今、答えを出すことは困難ですが、将来、コンピュータがより強くなるためのヒントを与えてくれるかもしれません。
最後は、やはり今後の人間とコンピュータとの対戦について示唆する内容になっていますが、その中で『1回の勝負では「どちらが上か」はわからない』という片上大輔六段の言葉があります。強くなるためにいかにあるべきか、目先の1つ2つの勝敗によっては必ずしも明らかにならない、ということは、この記事で紹介されているさまざまな考え方が暗示している、といえるのではないでしょうか。
コンピュータ将棋協会blog said
「情報処理」にて「あから2010」徹底解説
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