月刊将棋世界2010年1月号にて「コンピュータは七冠の夢を見るか?」の連載が始まったことは先月お伝えしました。年末に発売された2月号の第2回では、「ボナンザメソッド」による評価関数の学習が解説されています。やや出遅れ感がありますが、改めて紹介します。
コンピュータが学習を行うことによって優れた処理を獲得する、という概念は本来、大学の専門分野レベルの難しい内容です。加えてボナンザメソッドは保木邦仁さんによって数年前に開発されたばかりの新しい技術ですから、学術書や教科書でない一般向けの雑誌でその詳細を説明する、というのは異例のことです。しかし6ページのコンパクトな記事では、「将棋の指し手が理解できる」もしくは「将棋の実力の向上を目指している」読者を想定した上で、非常にわかりやすく、イメージが浮かびやすい解説が読めます。
もちろん、この記事だけで学習を行う将棋プログラムをいきなり開発するのは困難ですが、「なぜコンピュータはよい手が指せるようになったのか」を初学的に理解するには最適なテキストになっていると思います。これからコンピュータ将棋を開発したい人がもし熱心な将棋ファンだったら、教科書で学ぶ前にまずこの記事を読むことが一番の近道なのではないでしょうか。一方、将棋に対する知識や興味を活用したコンピュータ技術入門としても面白く読めるはずです。
コンピュータ将棋協会blog said
「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第3回は学習の課題
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