月刊将棋世界9月号の「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第8回は、コンピュータ将棋の探索を並列処理によって高速化する方式を解説しています。
並列探索がなぜ必要か、の説明に始まり、そのためのアルゴリズムの解説と、n個のCPUで並列探索しても速度がn倍にならないことの説明、最後に例の清水女流王将との挑戦状対局に投入される予定のスーパーコンピュータの紹介とその学術的意義、というストーリーに沿った内容。並列化アルゴリズムについては、本職のプログラマでも頭の中を整理するのはなかなか大変なのですが、よく読むと理解できるようになっています。ここではアルゴリズムにPVS(Principal Variation Search、最善応酬探索)を使用するものとして述べられていますが、PVSがなぜ高速か、という決して容易でない理論の理解にも適した説明になっていると思います。
今回はかなり困難なテーマで、一般の読者が読みこなすのは大変と思われますが、並列処理の難しさがありつつも、その威力は明確に示されています。また、挑戦状対局が、将棋のみならず一般の情報科学分野に貢献する取り組みであることが理解できるのではないでしょうか。
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