Archive for コンピュータ

ゲームプログラミングワークショップ2015@軽井沢、GPW杯も例年通り開催

前々回の記事でも紹介したゲームプログラミングワークショップ2015 (GPW-15) は、プログラムが発表されています。今回の招待講演は、ぷよぷよAIの研究と、ビデオゲームAIについての幅広い研究をテーマとした2本となるようです。その他、研究発表のテーマは定番のチェス/将棋/囲碁のほか、人狼や麻雀など例年以上に多彩な競技、モンテカルロや証明数探索などアルゴリズム研究も豊富のようです。

また、例年通りナイトイベントにて、GPW杯の名を冠した多数のコンピュータ大会が開催されますので、プレイヤーの皆さんは是非ご参加ください。今年のGPW杯コンピュータ将棋大会はフィッシャークロックルールが採用されます。フィッシャークロックで初期持ち時間10分、加えて1手ごとに10秒増加するルールとなります。恒例のはずのコンピュータ将棋大会は一昨年に秒読みルールを採用してから参加者の減少に見舞われてしまい、昨年は開催できませんでした。しかし第25回コンピュータ将棋選手権で持ち時間10分+秒読み10秒のルールの実績ができましたので、今年は秒読みルールからわずかな変更で導入できるフィッシャークロックルールを採用するものとします。秒読みルールとフィッシャークロックルールの違いは「10秒よりも早く着手した場合に余した時間を持ち越せる」点のみですので、第25回選手権から変更されないプログラムで参加していただいても時間切れを起こすことはありません。定番の通信ソフトである将棋所も使用可能であることが先月のCSA例会で確認できています。プロトコル上はCSAサーバ プロトコル ver.1.2.1の ‘Increment’ 要素を使用します。また、こちらの記述にしたがってインターネットでのテストを行うことができます。

GPW-15の申し込み〆切は10月29日(木)ですので、まだの方はお忘れなく。間違えそうなので繰り返しますが、今年は軽井沢で開催されます。会場の地図は前々回の記事をご覧ください。

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情報処理学会、コンピュータ将棋プロジェクトの終了を宣言『目的を達成した』

本日付で発表された、コンピュータ将棋プロジェクトの終了宣言は、昨日の時点でNHKなどが大きく報じ、すでに広く話題となっています。

今回の終了宣言の対象となったのは、挑戦状の形で5年前に公表された、情報処理学会50周年記念プロジェクトです。5年前の今日、清水市代女流王将(当時)に勝利したあから2010は、その後羽生善治四冠王をはじめとするトッププロ棋士との対局が期待されたものの交渉が成立せず、日本将棋連盟との間で合意された対戦は1局のみにとどまっていました。その間、コンピュータ将棋がプロ棋士と力比べをする場を(株)ドワンゴ日本将棋連盟が主催する電王戦に譲ることになりますが、多くが団体戦の形で行われた電王戦でのコンピュータ将棋とプロ棋士との対局は、これまでコンピュータ将棋側が通算10勝5敗1持将棋と大きく勝ち越しています。

電王戦は、叡王戦将棋電王トーナメントの優勝者同士が雌雄を決する形でリニューアルして来年も開催されることがすでに決まっており、また今年の電王戦FINALではプロ棋士チームが3勝2敗と勝ち越しました。しかし、第3回電王戦電王戦FINALでコンピュータ将棋が動作したのは(株)サードウェーブデジノスが提供するGALLERIAシリーズの高性能パソコンであり、またリニューアル後の電王戦も同様となります。10の224乗という巨大数を意味する阿伽羅(あから)の名を冠したあから2010に使用された巨大クラスタコンピュータの技術がこの舞台に参戦できる見込みは、今後もないものと思われます。今回の宣言で参照されている参考文献には、昨年時点での戦績をもとに今年がトッププロ棋士の実力をコンピュータ将棋が上回る時期であると推定される根拠が示されていますが、このほか、最先端技術をすべて投入してトッププロ棋士と対戦する機会さえあれば、コンピュータ将棋の実力が明らかに上回るであろう、との判断があるものと思われます。

詳細は、情報処理学会-コンピュータ将棋プロジェクトの終了宣言のリンク先をご覧ください。宣言は、

これまで多大なご協力をいただいた将棋連盟を始めとする将棋関係者の方々に深く感謝いたします.最近はプロ棋士もコンピュータ将棋を検討の道具として用いていると聞いています.またコンピュータ将棋が初めて指した新手をプロ棋士が採用することも増えています.対決のときが終わって人間とコンピュータが協調するという本来の姿になりつつあることを嬉しく思います.今後は将棋を題材として得た成果を情報処理の技術一般に活かしていく所存です.

とむすばれています。また、情報処理学会誌2015年11月号にこの宣言に関する記事が掲載されることが予告されています。

あから2010

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ゲームプログラミングワークショップ 2015 今年は@軽井沢

第20回 ゲームプログラミングワークショップ 2015 (GPW-15)参加申込受付が始まりました。今年は例年とは異なり、軽井沢学習研修所で開催されます。例年は箱根で開催されていましたが、箱根山の火山活動が平年より活発であることから大事をとって会場が変更されました。日程は11月6日(金)~8日(日) で、こちらは最近数年と変わりません。

今年も最先端かつ興味深い研究発表や講演、多数のゲームイベントがあるはずですが、詳細はまだ発表されていません。申込〆切は昨年より少しだけ早めとなっておりますのでご注意を。

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次回電王戦は「頂上決戦」方式の2日制・二番勝負に

本日6月3日(水)、将棋電王戦に関する記者発表会が開催され、2016年春に、今年の電王戦FINALに続いてプロ棋士とコンピュータ将棋が対戦する第1期 電王戦が開催されることが発表されました。発表によれば、コンピュータ将棋代表が電王戦FINALと同じく将棋電王トーナメントで決定されますが、プロ棋士代表はこれまでと異なり(株)ドワンゴが主催する新たなプロ公式戦(新棋戦)で決定されます。そして次の電王戦は、持ち時間8時間の2日制で先手/後手を交互に持つ二番勝負が行われます。

過去3回の電王戦は5対5の団体戦でしたが、次は第1回電王戦以来の棋士ひとり対コンピュータ将棋1チームの対戦となります。その代わりに1局2日の対局を二局という大勝負になりました。日程は2016年の3月から5月の間に二局、とのみ発表されています。

6月20日(土)に早くも開幕する新棋戦は、全正棋士にエントリー資格が与えられるプロ公式戦。糸谷哲郎竜王森内俊之九段佐藤康光九段谷川浩司九段日本将棋連盟会長)らビッグネームの出場がすでに決まっており、「タイトルホルダーとコンピュータ将棋の対戦は避けられなければならない」という前提はなくなっています。ただし、糸谷竜王以外のタイトルホルダーの出場は未定のようです。棋戦の形式は、段位別に行われる予選を勝ち抜いた棋士16人によるトーナメントです。詳しい情報はこちらをご覧ください。

プロ棋士とコンピュータ将棋がともに出場権を争う「頂上決戦」方式になった電王戦。ある意味で対等な形式になり、そうなると尚更気になるのがレギュレーションですが、本日の発表会では明かされませんでした。前回も物議をかもした部分であり、片方のみが有利な環境で研究を行える、といった非対称性を含まないものが期待されます。

コンピュータ将棋側の予選を兼ねた第3回将棋電王トーナメントは、2015年11月21日(土)~23日(月・祝)に行われます。前回より3週間程度後の時期となっているほかは詳しい情報がまだなく、出場者募集もまだ始まっていないようですが、開発者の皆さんは準備しましょう。電王戦への出場枠はたったひとつとなり、さらに熾烈な争いが見られそうです。

本日発表された形式はひとまず3年継続される予定とのことです。なお、新棋戦名称募集中。今日から1週間、名称を募集し、その中から投票で棋戦名が選ばれ、開幕直前に名づけられる予定となっております。これぞと思われる名称案がおありの方はご応募を。

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第25回世界コンピュータ将棋選手権はponanzaが初優勝

第25回世界コンピュータ将棋選手権は本日、決勝リーグ戦が行われ、ponanza(ポナンザ)が7戦全勝で初優勝をおさめました。

決勝リーグの全勝は第15回選手権激指以来10年ぶり。ほとんどの対局で相手に付け入る隙を見せない内容で2位に勝点1.5差をつけました。おめでとうございます。

近年の選手権では珍しく上位と下位がはっきりとグループに分かれた今回の決勝リーグ。準優勝のNineDayFever、3位のAWAKE、4位のAperyはまさに4強というべき内容と結果を残しましたが、ponanzaの強さは際立ちました。

新人賞は初参加チーム中最高位の18位につけたおから饅頭が、独創賞は二次予選で選手権史上初の入玉宣言による勝利を記録したSeleneが、それぞれ受賞しました。

その対局の棋譜はすべて第25回世界コンピュータ将棋選手権 ライブ中継で振り返ることができます。写真やエピソードはコンピュータ将棋選手権ネット中継ブログをご覧ください。Twitterのつぶやきは主にハッシュタグ “#csalive” にて。ニコニコ生放送二次予選決勝リーグの動画中継はタイムシフト試聴可能(要会員登録)。タイムシフト予約されていない方でも、ニコニコプレミアム会員であれば予約期限内での事後予約によって視聴が可能です。

最後に、決勝リーグの最終順位順の結果をどうぞ。

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