Archive for コンピュータ

将棋電王トーナメント、6日後に迫る

注記1: 今年のGPW杯コンピュータ将棋大会ルールに合わせ、持時間15分、切れたら1手5秒の秒読みとなるようCSAテストサーバの動作を変更いたしました。今回のルールでのテストをCSAテストサーバにて行っていただけるようになりましたのでお知らせいたします。

注記2: 今年のGPW杯が行われるゲームプログラミングワークショップ2013参加申し込み〆切は10月31日(木)です。お申し込みがお済みでない方はお早めに。

将棋電王トーナメントが11月2日(土)〜4日(月、振休)に開催されます。いよいよ6日後に迫ってまいりました。

今回のトーナメントは、第3回将棋電王戦のコンピュータ側代表決定戦であるのみならず、これ自体が賞金総額500万円のビッグトーナメントとなっています。優勝賞金は250万円。コンピュータ将棋の大会としては文句なく空前の賞金額です。全参加者が使用するコンピュータが統一のハードウェアであることも特徴のひとつで、主なコンピュータ将棋大会としては第1回〜第3回国際将棋フォーラムの催しのひとつとして開催されたコンピュータ将棋王者戦以来の形式。ハードを含まないソフトの技術で争われる点が世界コンピュータ将棋選手権と異なります。

参加者の募集は終了しており、こちらに参加者の詳細が掲載されています。トーナメントの模様は動画の生放送が予定されています(視聴にはniconicoのユーザー登録が必要)。プロ棋士の対局料としても稀な水準の高額賞金がかかったコンピュータ将棋同士の対局がいかなるものとなるか、注目です。

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ゲームプログラミングワークショップ2013 参加募集開始

10/12(土)追記: 今年のGPW杯コンピュータ将棋大会ルールを決定いたしました。持時間15分、切れたら1手5秒の秒読みとなり例年とは異なりますのでご注意ください。詳しくはこちらをごらんください。

10/10(木)追記: GPW杯コンピュータ将棋大会ルールの一部は現在検討中です。時間制が一部変更となる可能性があります。

第18回ゲームプログラミングワークショップ 2013 (GPW-13)の参加申込受付が始まりました。今年も紅葉が始まる頃の箱根で金曜日を含む週末3日間、11月8日(金)~10日(日)の開催。お仕事のある方はお休みのご手配を。

今回もGPW杯コンピュータ将棋大会を開催します。今回のルールは持時間15分、切れたら1手5秒の秒読みとなります。例年とは異なりますのでご注意ください。詳しくは開催のお知らせをごらんください。

上記のコンピュータ将棋大会のほか、GPW杯としてコンピュータ囲碁大会(9路盤/13路盤)、コンピュータ5五将棋大会が例年通り開催される予定です。今年もまたタフで楽しい夜更かしイベントとなることでしょう。

本題のプログラム (暫定版)も多彩な内容の研究発表のほか、招待講演2件が今年も催されます。2件のうちひとつは、世界的な人気ゲームStarCraftで用いられている人工知能技術について。もうひとつは、長年コンピュータ将棋の発展に貢献された小谷善行教授が研究生活を振り返ります。

加えて今年は、森田将棋の開発者で昨年亡くなられた森田和郎氏を偲ぶ会も行われます。多くのご参加を楽しみにしております。

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情報処理Vol.54 No.9「現役プロに勝ち越したコンピュータ将棋」

情報処理2013年09月号


出版後1ヶ月経過してしまいましたが、遅ればせながら紹介いたします。情報処理学会が発行する情報処理2013年09月号に、ミニ特集「現役プロに勝ち越したコンピュータ将棋」が33ページにわたり掲載されています。今回は、今年3月〜4月に行われた第2回電王戦、および今年5月の第23回世界コンピュータ将棋選手権を合同の主題とし、対局の内容と、コンピュータ将棋に搭載された最新の技術について解説されています。

世界コンピュータ将棋選手権の特集は毎年お馴染みになりましたが、今回は電王戦の記事と合同になっていることから、対局の内容は第2回電王戦の5局がより詳しく解説されています。そのため、コンピュータ将棋を迎え撃つ棋士側の戦略、およびそれを見越したコンピュータ将棋の戦略が大きな関心事となっているほか、いわゆるXディ後についての論考にも多めの誌面が割かれています。

冊子は情報処理学会の会員向けに発行されていますが、こちらに非会員のための購入方法が記されています。この記事からはAmazonへのリンクが使用できます。電子版もあります。

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プロ初の公開アドバンスト将棋大会 あす開催

前回のブログ記事で割愛してしまいましたが、第3回電王戦の関連イベントとして、電王戦タッグマッチがあす8月31日(土)に開催されます。内容はこちらのサイトにあるように、プロ棋士がコンピュータ将棋を駆使して対局するトーナメント大会。出場ペアは第2回電王戦で相まみえた同士の棋士とコンピュータが組んだ5ペアです。1日の間に4局が指され、優勝が争われます。

これは「アドバンストチェス」と同じく、人間とコンピュータの力を合わせてよりレベルの高い将棋を指そうという企画。以前の記事でご紹介した「アドバンスド将棋は最強コンピュータ将棋に勝てるか?」は2人のアマチュア強豪がコンピュータ将棋と組んで別のコンピュータ将棋と1局ずつ指す企画でした。プロ棋士による公開されたアドバンスト将棋はこれが初の試みとなります。注目はなんといっても、プロ棋士がいかにコンピュータ将棋を活用するか、という点。人間と計算機の双方の長所をどう使うか、いかに役割分担するか、という趣は通常の棋士の将棋ともコンピュータの将棋とも異なりますが、レベルの高さは間違いなく期待できるうえ、プロ棋士のコンピュータ将棋観も垣間見えることでしょう。

この模様は生放送が予定されており、すでに予約受付中(視聴には会員登録が必要です)。ニコファーレにて大盤解説会も行われます。

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第3回電王戦は「公募」「予選」「ホモロゲーション」で開催

本日8月21日午後、第3回電王戦の発表会が行われ、その模様が生放送(予約可能な会員のみ視聴可能)されました。多くのファンが期待したとおり第3回電王戦が実施されることが正式に発表されました。

第3回電王戦は、日本将棋連盟プロ棋士5名とコンピュータ将棋5チームによる団体戦であること、3月から4月の間に5局の対局が行われる点が第2回電王戦と同一です(開催は2014年)。第2回と異なる主な点は以下のとおりです。

  • 出場するコンピュータ将棋は公募されます。参加受付は本日から9月29日(日)までこちらのサイトで行われています。
  • 公募されたコンピュータ将棋は「将棋電王トーナメント」という予選を兼ねた大会に参加し、上位5チームが第3回電王戦への挑戦権を得ます。「将棋電王トーナメント」は総額500万円の賞金が用意されています(分配方法などの詳細は未定のようです)。
  • コンピュータ将棋は主催者が用意した機器を使用しなければなりません。ルール文書(PDF)によれば、6コアの汎用CPUで動作する統一機器のようです。前回のGPS将棋のような大規模なシステムは使用できないことになります。
  • 第3回電王戦出場棋士は、対戦するコンピュータ将棋と同一のハード・ソフト環境で事前に練習対局する機会が得られます。前回もコンピュータ将棋側の好意で一部のソフトウェア(同一性は保証されていない)がプロ棋士側に提供されましたが、今回は制度化され参加全棋士に本番と同一の環境での練習が約束されています。

ハードウェアを統一する方式は、かつて国際将棋フォーラム内で行われていたコンピュータ将棋王者戦で採用されていました。現在は世界コンピュータチェス選手権ソフトウェア部門で採用されています。今回それらの場合と異なるのは、出場棋士の練習対局に本番と同一の環境を提供しなければならないことから、本番以前に開発を凍結する必要があると考えられる点です。言わば、モータースポーツでホモロゲーション(制約を伴う機器認証)と呼ばれる方式に近いルールになっています。

上記のとおり、第3回電王戦に参加できるコンピュータ将棋はトーナメントの結果で決まりますが、プロ棋士の側は屋敷伸之九段の参戦が決まっています。他4名もほぼ内定しているとのことで、第2回よりも高段の棋士が出場予定であることが示唆されていますが、タイトル保持者は出場しない予定のようです。

前回の第2回電王戦では、プロ棋士チームは1勝1分3敗とコンピュータ将棋チームに負け越す結果となりましたが、次回第3回はプロ棋士チームが巻き返すことが期待されています。ルールも前回に比べて明らかにプロ棋士側に有利になっています。特に事前練習の機会が保証されていますので、多数の練習対局を重ねてコンピュータ将棋に勝つ手順を見つけておいて、それを本番で忠実にリプレイすることができれば、今度はプロ棋士チームにも大いに勝機があるのではないでしょうか。

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