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電竜戦TSEC予選1位はBURNING BRIDGES、どうたぬき 極と大晦日決戦へ

電竜戦TSECは昨日26日(土)から本日27日(日)にかけて予選リーグ(勝敗表リーグ表)の先後2局x15回戦、1チームあたり30対局が開催され、BURNING BRIDGESが22.4勝で1位となりました。2位は21.8勝のどうたぬき 極が入りました。この2チームが予選を通過し、12月30日(水)20時からのファイナルに進出しました。ファイナルは24時間を費やし54回戦108対局がこの2チームで戦われます。

3位以下のチームはB級ウルトラリーグに回り、54回戦を超えない範囲で総当たりリーグ戦を繰り返すことになっています。

指定局面からの対局を繰り返す電竜戦TSECでは当然ながら対局の内容が指定局面の選ばれ方に大きく左右されます。1回戦は当ブログでも紹介した映画AWAKEの題材にもなったあの局面が選ばれ、先手の狙い通りに後手が角を打った対局もありました。ただ、後手が角を打たなかった対局が大多数で、また後手が角を打った対局のうち打った角が捕獲されて後手の駒損となる展開はなかったようです。1〜3回戦は過去に電王戦に現れた局面が選ばれました。また、プロ棋士の勝又清和七段遠山雄亮六段が提供した注目の定跡形、語り草となっているプロ公式戦の局面、江戸時代の棋譜などが4回戦〜14回戦の指定局面に選ばれ、また最終15回戦の局面は初型局面を変形して先手に角2枚、後手に飛2枚を置かせた独自局面が指定されました。

予選の勝敗表を見ると、通常のリーグ戦に比べて千日手がやや多めになっている印象を受けます。中には対戦成績が2千日手となった対戦が2カード生じた局面もありました。初型から指すよりも千日手になりやすい局面がいくつかあったようです。また1勝1敗となった対戦カードの多い局面もいくつかあり、先手もしくは後手が勝ちやすい、という局面もあったと見られます(1勝1敗が多くて先手と後手がいい勝負、という局面もありました)。一方、15回戦は後手の飛2枚が先手の角2枚に戦力でまさって有利そうに思えますが、意外にも15回戦で1勝1敗だった対戦は1カードしかなく、他はほとんどが上位チーム2勝という結果でした(下位チームが2勝したのは1カードのみ)。こういった局面の巡り合わせが、順位争いに少なからぬ影響を及ぼしたと考えられます。

結果および棋譜の閲覧は、勝敗表またはリーグ表をご覧ください。

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課題局面はどちらが有利? 電竜戦TSEC、今夜開幕

GCTの優勝で幕を閉じた第1回電竜戦に続き、電竜戦TSEC (Top Shogi Engine Championship)が今日12月26日(土)と30日(水)〜31日(木)の延べ3日間にわたって開催されます。TSECとは、チェスのTCECにならい、指定局面から対局を開始して勝敗を競うというもの。大会の模様はこちらで中継されます。詳しい情報は世界将棋AI 電竜戦のページや、電竜戦公式ツイッターアカウントが提供する情報などをご覧ください。電竜戦と同じく予行演習もすでに開催済み、また練習対局も最近1週間にわたって行われていました。

どのような局面が指定されるか、すべては公表されていないものの、予行演習練習対局の指定局面から、人気の戦型、気になる戦型の序盤ないし中盤戦の入口にさしかかった局面、およびプロ棋戦で実際に指された局面から選ばれるものと予想されます。

あなたの得意戦法、あるいは苦手としている相手の戦型、どちらが有利なのかはかりかねている定跡形などの局面がもし指定局面に選ばれ、そこへコンピュータ将棋が好手を指して勝ったなら、明日からのあなたの対局の役に立つかもしれません。コンピュータに特定の局面を指させて研究、というスタイルはもはやプロ棋士の間でも一般的になったと思われますが、現代のコンピュータ将棋の実力ならば、コンピュータ同士の対局からでも判明することが多々あると思われます。TSECもれっきとした大会であり、指定局面での同一カードは公平を期して先手番/後手番を交互に持って1局ずつ行われますが、優勝の行方は指定局面の傾向により左右されそうです。

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主人公はコンピュータ将棋開発者、映画「AWAKE」あす封切り

主演の吉沢亮さんが演じる清田英一は、コンピュータ将棋の開発者。恐らく史上初となる主人公の映画AWAKE(監督・脚本:山田篤宏)が、あす12月25日(金)に全国の映画館でロードショーを迎えます。池袋HUMAXシネマズでは初日舞台挨拶が行われます。

あらすじなどの情報は、AWAKE公式サイトなどをご覧ください。長年のコンピュータ将棋ウォッチャー、ドワンゴ主催の電王戦を見ていた方は思い出す名前でしょう。将棋棋士になる夢がついえ奨励会を退会した主人公はコンピュータ将棋の開発を始め、やがて開発者として棋士との戦いに舞い戻ることとなります…。

実話から着想を得た脚本が第1回木下グループ新人監督賞グランプリを受賞した本作、劇中ではコンピュータ将棋関係者の姿も見られるかもしれません。映画館へは、新型コロナウイルス感染防止対策をご準備のうえお出かけください。

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将棋世界新連載『コンピュータソフト「やねうら王」と行く藤井将棋観戦ツアー』

現在発売中の月刊将棋世界2021年1月号より、『コンピュータソフト「やねうら王」と行く藤井将棋観戦ツアー』という記事の連載が始まっています。第29回世界コンピュータ将棋選手権に優勝したやねうら王(評価関数: 水匠2)を解析に利用して、藤井聡太二冠王の指した棋譜を分析・解説するというものです。著者(ガイド)は谷合廣紀四段。棋士であると同時に東京大学大学院博士課程に在籍し、自動車の自動運転技術を研究する人工知能研究者です。

第1回の記事の題材に選ばれた一局は、今年6月4日に指された、(先)永瀬拓矢二冠(当時)-藤井聡太七段(当時)の第91期ヒューリック杯棋聖戦挑戦者決定戦。 Read the rest of this entry »

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初代電竜はGCT

第1回世界将棋AI 電竜戦は本日11月21日(日)に2日目が行われ、GCTA級リーグを6勝1敗2千日手、勝ち点7で1位となり優勝、規定により ”電竜” の称号を獲得しました。おめでとうございます。

B級リーグはDaigorilla∞koronプロジェクトが9戦全勝で並び、優勝決定戦が行われました。これに勝ったkoronプロジェクトがB級優秀賞を獲得しました。koronプロジェクトは若竜賞も獲得しました。

ほか、各賞については、公式発表をご覧ください。

本記事脱稿時点で表彰式が行われていますのでご覧ください。

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