月刊将棋世界6月号に掲載された連載「コンピュータは七冠の夢を見るか?」の第5回は、詰将棋を採り上げています。コンピュータ将棋が詰将棋を超高速で解けることはよく知られていますが、それは単に処理が速いから解けるわけではなく、詰将棋向けのアルゴリズムがあるからこそできる、ということがわかりやすくに説明されています(ただし、わかりやすすぎてこの説明からプログラムを書くのは難しいでしょう)。
紹介されているアルゴリズムはdf-pnで、これは世界コンピュータ将棋選手権の多くの出場者が実装しているおなじみのアルゴリズムですが、Bonanzaなど実装していなくても強いプログラムは存在します。しかし先日の第20回世界コンピュータ将棋選手権ではBonanza Felizは決勝リーグで自玉の詰みを事前に読めずに敗れる対局が続いたので、これからこの分野も強化が進むかもしれません。詰将棋を解くアルゴリズムは、やはりコンピュータ将棋にとって重要な技術といえそうです。
記事中には実戦詰将棋が例題として掲載されており、これらにチャレンジしたという報告もすでにあります(こちらとこちら)。一方、コンピュータが詰将棋を創作する研究も紹介されていますが、こちらはまだ大きな成果には至っておらず、課題が多く残されています。今回も、記事中には多くのWebページへのリンクが紹介されており、特に詰将棋おもちゃ箱へのリンクをご存じなかった方はこれを機会にブックマークに追加しましょう。今回の記事は、詰将棋関連のリファレンスとしても有用でしょう。
また今月号では、例の挑戦状の件についてももちろん紹介されています。巻中中央の見開き2ページのカラーページには、挑戦状の説明、および挑戦手合を主催する女流棋士会ファンクラブ「駒桜」への入会を募る内容が記されています。