本日5月20日(土)に兵庫県姫路市の姫路城で行われた、第2期電王戦 第2局、▲佐藤天彦叡王(名人)-△Ponanzaの対局は、Ponanzaが94手で勝ち、2連勝でシリーズを制しました。
相掛かり戦で両者の囲いもそこそこに戦いが始まった第1局とは異なり、第2局は先手の佐藤名人が角換わり棒銀から穴熊への2次駒組を行う作戦を選び、駒組が長く続く展開となりました。千日手もあり得ると一時は思われたところからPonanzaが64手目△5六角で攻撃開始。着実に攻め続けて優位を拡大しました。本局でもPonanzaは2手目に△4二玉と上がり右銀を6二→5一→5二→4三と動かす一見奇妙な手順を見せ、やや作戦負け気味、という自己評価もしていたようですが、中盤以降は王道の指し回しで、前局に続き本局も玉が詰むまでに手数のかかる局面で差をつける完勝でした。
Ponanzaは昨年の第1期電王戦に続く2連覇。Ponanzaは現行制の前の電王戦でも第2回、第3回、FINALすべてで勝っており、プロ棋士との通算対戦成績を7戦全勝に伸ばしました。プロ棋士と指せば指すほどに盤石になっていく姿を見せ続けたPonanza。それが名人を相手にしても変わらなかったことは、今日で電王戦の時代が終わるとしてもやむを得ないのかもしれない、と思わせるに充分な進化ぶりでした。
本局の模様はニコニコ生放送にて完全生中継されました。タイムシフト予約で後からでも見られます。niconicoのプレミアム会員であれば生放送後のタイムシフト予約も可能です。各メディアはすでに本局の結果を速報しています。またドキュメンタリーでも、あす5月21日(日)23時からMBS(TBS系列)の情熱大陸にてPonanzaの開発者、山本一成さんの回がテレビ放映され、その中で本局のことも伝えられる予定です。
第1回電王戦から5年あまり。この間、人工知能技術の進歩が現在の世界を大きく変え、また未来をさらに大きく変えるであろうことが、完全に人類の共通認識に昇格しました。さまざまな分野で人工知能が人智に挑む光景が見られ、それについての人々の考え方も大きく変わったと思われます。昨今の将棋界においては、昨年に史上最年少でプロ棋士となった藤井聡太四段がプロ入り後18連勝し未だ負けなし、という驚異的な勝ちぶりが将棋ファン以外にも広く知られるところとなり、たとえ人工知能の時代になっても強い棋士は注目され、尊敬されることが証明されました。その藤井四段の指す将棋にもコンピュータ将棋の影響が色濃く見られます。人工知能が人類にとって味方であり、敵ではない、という考えは、すでに広く共有されているのではないでしょうか。
すでに予告されていた通り、電王戦が今回で最後、ということは局後の記者会見でも確かめられました。また、叡王戦が竜王戦・名人戦に次ぐ格のタイトル戦として参加者枠を拡大して来月から第3期が始まることが発表されました。併せて、将棋電王トーナメントが今年も行われることが発表されました。
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