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将棋電王戦、次回がFINAL

8月29日、「将棋電王戦に関する記者発表会2014」が行われ、その模様がニコニコ生放送にて中継されました(予約可能な会員のみ録画映像を視聴可能)。2015年3月~4月、今年の第3回に続き将棋電王戦が開催されることが発表されましたが、次回が将棋電王戦FINAL、すなわち、現行フォーマットの将棋電王戦が来春で最後になることが明らかにされました。

代わって、電王戦のブランド名は電王戦タッグマッチに存続されて昨年に続き今年も行われます。このタッグマッチは2016年から、将棋界の2大タイトルである竜王戦名人戦に次ぐ賞金規模の棋戦として毎年開催されることになるようです。すなわち、プロ棋士にとってのコンピュータ将棋が敵から味方に変わり、コンピュータ将棋がその技術を使ってプロ棋士に高額賞金を獲得させる、という別の役割が期待されることになります。高い貢献が認められればコンピュータ将棋開発者にも高額な分け前があるかも? 楽しみですね。

今年の電王戦タッグマッチ2014昨年の5チームのトーナメントから12チームに大幅拡大されて3日間にわたり開催され、この模様もニコニコ生放送で中継されます。

将棋電王戦FINALへの出場棋士は10月12日、電王戦タッグマッチ2014の最終日に発表されます。タイトルホルダーの出場はないそうですが、20代~30代前半で勝率6割4分~5分以上の高勝率棋士が出揃う予定とのことで、タイトルホルダーよりも手ごわい相手となるかもしれません。

将棋電王戦FINALのルールは、第3回電王戦と変わらないようです。現在出場者募集中の第2回将棋電王トーナメント上位5チームが将棋電王戦FINALのコンピュータ将棋側の出場者となり、両方で全出場者共通のハードウェアを使用しなければなりません。また将棋電王戦FINAL出場棋士は、対戦するコンピュータ将棋と同一のハード・ソフト環境で事前に練習対局する機会が得られます。昨年、当ブログにて、

特に事前練習の機会が保証されていますので、多数の練習対局を重ねてコンピュータ将棋に勝つ手順を見つけておいて、それを本番で忠実にリプレイすることができれば、今度はプロ棋士チームにも大いに勝機があるのではないでしょうか。

と書きましたが、それが容易に実行できないことが第3回電王戦で示されましたので、それを踏まえてのコンピュータ将棋対策技術の進歩が見られるのか、注目されます。そして勿論、最大の注目点は、コンピュータ将棋が第3回電王戦をさらに上回る情け容赦のない強さを将棋電王戦FINALで見せてくれるのかどうか、ですね。

さて、過去3回の将棋電王戦は、団体戦としてコンピュータ将棋チームの3連勝(第1回は1局だけではありますが…)、個別対局としてもコンピュータ将棋の8勝2敗1分となっており、次回が最後となれば2つの意味でコンピュータ将棋の勝ち越しが確定、ということになります。将棋電王戦の名は、コンピュータ将棋の技術がプロ級に進歩したことを証明したものとして、永く歴史に残るでしょう。

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情報処理Vol.55 No.8「第3回将棋電王戦を振り返って」

情報処理 2014年08月号


ひと月遅れになってしまいましたが、情報処理学会会誌2014年08月号に掲載された11ページ記事「第3回将棋電王戦を振り返って」を紹介します。記事には、第3局に勝利した豊島将之七段による自戦解説と、MVPを獲得した習甦の開発者の竹内章さんによる非線形評価関数の改良についての技術解説があります。解説中、豊島七段自身をはじめとするプロ棋士や電王戦の観戦者の意見は、コンピュータ将棋への一般的な評価とはひと味異なるものが多く、コンピュータ将棋開発者や将棋ファンにとっても示唆に富んでいるといえます。

加えて、第3回将棋電王戦や今期の名人戦の結果など最新に近いデータを反映させ回帰分析によってプロ棋士とコンピュータ将棋の強さを比較推定した記事では、人のトップとコンピュータの実力がいよいよ接近していることが数値で示され、「人間のトップがコンピュータに勝つのはまさに今しかない」と結論づけられています。

なお、本記事の紹介がびと月遅れてしまったため、すでに09月号も発行されています。そちらには第24回世界コンピュータ将棋選手権の紹介記事はなさそうですので、こちらは10月号を待つことになりそうです。

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