本日行われた第2期電王戦第1局、▲Ponanza-△佐藤天彦叡王(名人)の対局は、Ponanzaが71手で勝ちました。
コンピュータ将棋が公式戦で現役のタイトルホルダーに勝ったのは初めて。そもそも現役タイトルホルダーとコンピュータ将棋との対局が希少で、2007年の渡辺明竜王とBonanzaの1戦以来10年ぶり2度目。2012年から始まった電王戦では初めてです。
ドワンゴの川上量生会長に「(人類と人工知能との対決という意味での電王戦は)歴史的な役割を終えた」と言わしめたコンピュータ将棋の目覚ましい進歩を裏付けるような、Ponanzaの隙のない勝ちぶりでした。後手の端攻めを巧みに受け流し反撃、短手数で優位を拡大しました。投了図はまだ玉が詰むまでには手数のかかる局面ですが、現代のコンピュータ将棋やプロレベルでは後手に勝ち目のない状態となっています。対局中、システムトラブルにより対局が延べ1時間以上中断されましたが、持ち時間5時間のうちPonanzaの通算消費時間は(中断時間を除き)2時間に満たなかったため、対局が深夜に及ぶようなことはなく19:15頃に終局しました。
局後、佐藤名人は、Ponanzaとは短時間での練習を繰り返し行ったもののほとんど勝てなかった、と明らかにしました。今日の対局も内容はあっけなかったものの、ねじり合いの熱戦になりにくい相掛かり戦法の成り行き上やむを得なかったこともあってか、佐藤名人の局語のコメントはむしろ饒舌さを感じさせる語りぶりで、内容に良いところがなかった、名人の歴史的な敗戦、といった重い印象はありませんでした。一方、開発者の山本一成さんの局後のコメントはさらに饒舌で、第27回世界コンピュータ将棋選手権向けのアピール文書の公開でたちまち話題となったディープラーニングにも細かく言及するなど、今日のトラブルに関する不安を感じさせないものでした。
続く第2期電王戦第2局は5/20(土)に兵庫県姫路市の姫路城にて行われます。最後、と目される対局は本局と同じくニコニコ生放送にて生中継されます(初めて視聴される方は視聴方法をご覧ください)。Ponanzaが電王戦の不敗神話を堅持して締めくくるか、それとも佐藤叡王が巻き返すか。ともあれ、歴史的な対局が熱戦となることを期待しましょう。
コメントを残す