ゲームプログラミングワークショップ2008・好敵手たちの交流

ゲームプログラミングワークショップ(GPW)2008無事終了。参加された皆さん、お疲れさまでした。GPW杯コンピュータ将棋大会2008TACOSが9戦全勝で独走の優勝。おめでとうございます。

元アマ竜王2人、1勝1敗…コンピューターとの将棋対局

というわけで、当ブログで前回も触れた16:00-17:40 コンピュータ将棋イベントとは、第18回世界コンピュータ将棋選手権エキシビション対局の再戦でした。勝敗は、コンピュータとトップアマの伯仲する実力を反映した結果、といえると思います。

(追記)当協会のコンピュータ将棋棋譜集(GPW2008)で棋譜を閲覧できます。

かつてコンピュータ将棋は、いわゆる、やりにくい相手、という形容がもっともふさわしいプレーヤーでした。ファミコン、そしてパソコンソフトの時代に入って間もなく登場したコンピュータ将棋ソフトは、しばしの間、おもちゃだから許せる、という程度の実力でしかありませんでした。そのイメージは、技術は進歩するという歴史の必然が明らかな近現代にあってさえ溶解しがたいものでした。いくらアマチュアとの対局で勝利を重ね、トッププロと死闘を演じても、そんな相手では敵として闘志が湧かない、特別な対策を用意したり、手練手管を駆使したりしてまで勝ちにいく気が起きない。かといって負ければどんな評判が立つかわかったものではない…。

しかし、そんな時代は2008年5月5日をもって幕を閉じました。コンピュータ将棋は人類にとって、まぎれもない実力伯仲の好敵手なのです。ですから加藤さんも清水上さんも、対局を控えてコンピュータ将棋を充分に研究し、対策を用意して臨みました。2局とも角換わり型の将棋になったのは、恐らく偶然ではないでしょう。加えて持時間1時間、それが切れた後は1手1分の秒読み、という、エキシビションのときのような短時間に限られたものでない、アマチュア大会の標準的な持時間でしたので、今回は人間やや有利、と当ブログ主は事前に予想していました。決定的な有利さはない、という見立ては、2局の内容を見る限り、妥当であったと思います。

今回の隠れた収穫として、加藤さん、清水上さん、そして現地解説の篠田正人さんが、GPW杯を含むGPW-08にて長く時を過ごされたことがあります。GPWの独特の雰囲気から、コンピュータ将棋の開発者もまた、ひたむきに将棋に打ち込む生身の人間だということを強く実感されたのではないでしょうか。それはコンピュータ将棋の開発者にとってもまた同じ思いでしょう。同時に、ともに闘志を燃やしあえる間柄になれたのではないでしょうか。

2局の内容は近いうちに明かされると思います(追記: 公開されました)。それまでの短い間は、GPW-08参加者のみに許された特典とさせてください。長くなりましたので、積もるお話は次回以降に。

6 Comments »

  1. >2局の内容は近いうちに明かされると思います。

    と書きましたが、棋譜はすでにこちらに出ていました。

    http://www3.tky.3web.ne.jp/~kayaken/20081108-kato-tanase.kif
    http://www3.tky.3web.ne.jp/~kayaken/20081108-gekisashi-shimizugami.kif

  2. 本文中に追記しましたように、当協会のサイトで公開されました。

  3. 鈴木康夫 said

    このブログのRSS
    http://www.computer-shogi.sakura.ne.jp/blog/feed/
    が取れないので、読めるようにしていただけませんか。

  4. >鈴木さん

    現時点でこちらの手元で確認する限り、RSS2.0(http://www.computer-shogi.sakura.ne.jp/blog/feed/)、RSS0.92(http://www.computer-shogi.sakura.ne.jp/blog/feed/rss/)、Atom0.3(http://www.computer-shogi.sakura.ne.jp/blog/feed/atom/)のいずれも取得できるのですが…。読めないでしょうか? ただし、アクセスは遅いかもしれません。

  5. 鈴木康夫 said

    ブラウザでは普通に見えました。
    RSSリーダーのタイムアウトを長めに設定したら、読み込みに成功しました。反応時間の問題だった様です。ありがとうございました。

  6. 人間vsコンピュータ将棋、今年のエキシビションは1勝1敗

    前回の記事にてうっかりお知らせし忘れてしまいましたが、エンターテイメントと認知科学研究ステーション特別企画「将棋研究の最前線」にて行われた2局のエキシビション対局がネッ…

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