Archive for コンピュータ

「情報処理」にて「あから2010」徹底解説

情報処理 2011年02月号


「情報処理」といえば、世界コンピュータ将棋選手権の特集が掲載されている情報処理学会の学会誌として、当ブログでも毎年紹介していますが、今回は情報処理学会創立50周年記念事業「清水市代女流王将vs.あから2010」が行われた後ということで、この1戦の成果の解説が最新号に掲載されますあから2010開発者側からは無論のこと、挑戦を受けて立った日本将棋連盟からも多数の解説陣が執筆しており、これは将棋、コンピュータの両関係者にとって必読の内容が期待できそうです。

「情報処理」は今まで会員向けの非売書籍に近い扱いだったため、当ブログでも紹介に苦労していたのですが、今年からはamazon.co.jpをはじめ複数の一般書籍販売サイトで容易に購入できるようになったようです。購入先の情報については、情報処理学会プレスリリースをご覧ください。

2月号は2月15日発売ということで、前回記事と異なり当ブログ主もまだ読んでおりませんので、現時点では書評を書くことはできませんが、学術的発表としても戦史としても意義深いものとなると思われます。書籍販売サイトにてすでに予約受付も行われておりますので、情報処理学会の会員でない方は是非お申し込みを。

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「コンピュータは七冠の夢を見るか?」理論編

将棋世界 2011年 03月号 [雑誌]


月刊将棋世界3月号の連載「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第14回は、ひと言でいえば「理論編」と呼ぶべき内容。形勢判断・読み・構想力という、将棋を指すうえでの三大要素と呼ぶべきテーマについて、人間とコンピュータの方法論の違い、長所と短所について議論しています。コンピュータ側の用語を借りれば「ソフトウェアアーキテクチャ」あるいは「モデリング」の問題、といえそうです。

このように紹介すると何やら哲学的な内容に見えてしまいますが、その点はこの連載らしく、いつも通り図面や手順を使った具体的な思考や分析によるわかりやすい裏づけがなされています。現在のコンピュータは、ひたすらブレのない形勢判断と膨大な読みによって、指し手の精度を高める手法を採っていますが、それは読みの深さの制約にもなります。対する人間は、現れた局面に対して都度「モデリング」を行い、勝つための読みの効率を高める手立てを多数身につけており、考え方は多次元的になります。コンピュータはそれらの技術を習得すべきか、いかにすれば習得できるか…について今、答えを出すことは困難ですが、将来、コンピュータがより強くなるためのヒントを与えてくれるかもしれません。

最後は、やはり今後の人間とコンピュータとの対戦について示唆する内容になっていますが、その中で『1回の勝負では「どちらが上か」はわからない』という片上大輔六段の言葉があります。強くなるためにいかにあるべきか、目先の1つ2つの勝敗によっては必ずしも明らかにならない、ということは、この記事で紹介されているさまざまな考え方が暗示している、といえるのではないでしょうか。

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第15回コンピュータ将棋オープン戦はGPS将棋が優勝

先日お知らせした、第15回コンピュータ将棋オープン戦は、GPS将棋が4戦全勝で優勝しました。おめでとうございます。

棋譜はライブ中継サイトで、Twitterコメントとともに見ることができます。結果の星取はこちらでご覧いただけます。

今回はまたしても運営に不手際があり、たびたび進行の遅滞が発生しました。申し訳ありません。次回4月の第16回オープン戦では改善いたしますので、今回よりも多くのご参加をお待ちしております。

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第15回コンピュータ将棋オープン戦 参加者募集のお知らせ

2/5追記: 「ネット中継は行われません」と宣言しておりましたが、こちらのサイトにてネット中継ができることになりました。第15回コンピュータ将棋オープン戦開催要項のスケジュールにしたがって観戦することができますので、参加者の皆様も観戦者の皆様もご期待ください。


間近のご連絡で申し訳ありませんが、来る2月6日(日)に、
第15回コンピュータ将棋オープン戦を開催いたします。
参加希望の方は電子メールで
wcsc_apply@computer-shogi.org (担当:香山 健太郎)まで
参加希望の旨お送りください。

●今年のコンピュータ将棋選手権に参加予定の方は、
対戦機能のチェックの場としてご活用ください。
なお、CSAプロトコルでのネットワーク対戦をされたことがない方は、
大会当日の混乱を避けるためにも、是非とも大会前にCSAサーバにて
テスト対局を行ってください。
http://www.computer-shogi.sakura.ne.jp/protocol/ を参考にしてください。
floodgateもCSAプロトコルに準じていますが、細かい部分が異なっています)

過去に、次のようなトラブルが発生しています。
・余計な文字列・改行を送ってしまう
・指し手が瞬時に返ってきたときに受け取れない
・詰ました後、サーバからの返答を待たずに切断してしまう

●当日の飛び入り参加・途中までの参加も受け付けます。
各試合の15分前までにお申し込みください。

・進行予定
1回戦 13:15~
2回戦 14:30~
3回戦 15:45~
4回戦 17:00~

●通信プロトコルに基づいて指し手を送受信できるなら、
指し手を決定するのは人間でも構いません。

●同一開発者の複数のプログラムの同時参加も認めています。

●参加費は無料です。

●これまでの大会の詳細はこちらをごらんください。
http://www.computer-shogi.sakura.ne.jp/

●試合当日の対戦相手の発表・連絡等は下記の掲示板にて行います。
http://cgi3.tky.3web.ne.jp/~kayaken/csabbs/open/index.html

●今回は中継は行われず、代わりに棋譜を各回戦終了後速やかに
コンピュータ将棋協会blog http://www.computer-shogi.sakura.ne.jp/blog/
アップする予定です。

●4月上旬の土曜にもオープン戦を行う予定です。
今のところ、4月9日(土)を予定しております。


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「コンピュータは七冠の夢を見るか?」人間とコンピュータの協力

将棋世界 2011年 02月号 [雑誌]


月刊将棋世界2月号の連載「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第13回は、将棋以外のゲーム、バックギャモンと囲碁について、コンピュータのプレイぶりや進化のしかたを論じ、将棋と比較しています。コンピュータのプレイがすでに人間のトップエキスパートを凌駕したといわれるバックギャモンでは、それまでの人間の常識では考えられなかった手筋をコンピュータが披露して結果を残したことがトッププレーヤー自身の口から語られ、将棋でもやがてコンピュータの強さから学ぶことによって人間の方が進歩できる、という未来を示唆しています。一方のコンピュータ囲碁は現在アマチュア四段くらいとのことで、コンピュータ将棋に比べるとまだまだ、という段階ですが、にもかかわらず「冷静な判断力が強み」であり「筋がよい」との評価がコンピュータ囲碁の研究者の口から語られ、初心者が強くなるためのパートナーとしても好適、というお墨付きを得ています。

普段の連載記事以上に広い分野をカバーした話ですが、さまざまなアイデアをあえて将棋雑誌で語るのがこの連載のいいところ。「未来への展望」と冒頭に紹介されていますが、将棋のネット中継でもTwitterボットの主張する指し手がたびたび話題になりますし、「人間とコンピュータの協力関係」は現代においてすでに始まっている、と見てもよいのではないでしょうか。このほかコンピュータバックギャモンやコンピュータ囲碁のアルゴリズムなど、将棋との違いについても興味深く紹介されています。

バックギャモンについてはなじみのない方も多いかもしれませんが、記事中に競技が紹介されています。また、もちろんネットを検索すれば多くの情報が得られます。

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