Archive for コンピュータ

コンピュータオリンピアード2010金沢、開幕

何度かお伝えしたとおり、コ ンピュータオリンピアード2010金沢大会が本日9月24日(金)、しいのき迎賓館にて開幕します(競技は2日目から)。10月2日に閉幕する予定のオリンピアードの最後の3日間、将棋と囲碁の一部の競技とイベントについては、ネット中継が行われることが、開幕直前になって発表されました。現地に行かれない方にも、一部の模様をリアルタイムで見ることができそうです。

同時に行われる、ゲーム情報学国際会議、コンピュータチェスの各クラスの世界選手権を含めたイベントスケジュールも、直前になって確定したようです。将棋の各クラスの競技は、日程後半に予定されています。

一部の競技のルールなども直前になるまで判明しなかったようで、非常におおらかな雰囲気ですが、ともあれ、日本ではまだ行われたことのない競技、コンピュータゲームの技術の進歩がどのような戦いを見せてくれるか、必見です。

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「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第9回は合議アルゴリズム

将棋世界 2010年 10月号 [雑誌]


月刊将棋世界10月号の「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第9回は、前回の並列処理と同様、複数のコンピュータ(CPU)を活用するもうひとつの方法、合議アルゴリズムを採り上げています。

コンピュータ将棋において、合議アルゴリズムは最近2年間くらいの新しいテーマですが、はっきりいって仕組みは非常に簡単。しかし何故それで成果が出るのかは、まだよくわかっていません。特に「楽観的合議」については、近年中には恐らく謎が解けないであろうと思われます。その不思議について、記事ではいつものように具体的な局面と、コンピュータ将棋が選んだ指し手から、仮説としての考察を行っています。今回の記事でもっとも大きく取り上げられている、谷崎アマvs「文殊」の対局はなかなか見ごたえがありますので、この機会にごらんください。

来月、清水女流王将と対局する「あから2010」も合議アルゴリズムを使います。「あから2010」は大規模なクラスタコンピュータで実現されますので、激指GPS将棋BonanzaYSSの4つのソフトが合議する一方、各ソフトは並列処理によって動作する、という多階層のシステムになります。並列処理と合議をいかに組み合わせて効果を上げるか、という問題について考察するためにも、記事を一読されてはいかがでしょう。

※9月例会の会場が発表されました。詳しくは当ブログの前回記事をごらんください。

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日本初のコンピュータオリンピアード、開幕迫る

以前お知らせした第15回にして初の日本での開催となるコ ンピュータオリンピアードの開幕が20日後に迫ってまいりました。世界コンピュータ チェス選手権ゲーム情報学国際会議も併催される一大イベントは、コンピュータによる知的ゲームの世界一を競う高度な知力の戦い。北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の創立・開学20周年記念を兼ねたこの大会は、石川県金沢市のしいのき迎賓館にて行われます(JAISTでの開催ではありませんのでご注意ください)。

日程表によれば、一部のイベントを除き、競技・イベント・講演はしいのき迎賓館にて無料で観戦等ができます。競技ごとの細かな日程は未だ暫定版の発表のみとなっており、特に「その他の競技部門」には日程調整中の種目もあると思われますが、主要な種目はほぼ決まっているとみてよいでしょう。

知的ゲームの国際戦といえば、第16回アジア競技大会の囲碁部門が話題になっていますが、それに先立って行われるコ ンピュータオリンピアードは、知的競技の国際化ムードを高める一役を買うかもしれません。旅行計画を立てる時期としては余裕がないかもしれませんが、少し長めの休みが取れる方は、是非ご観戦を。

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清水市代女流王将vsあから2010、対局詳細決定

挑戦状に始まった、将棋連盟棋士とコンピュータ将棋の対局の内容が、対局を49日後に控えた今日、日本将棋連盟情報処理学会の双方から発表されました。

「あから2010」という名が先日発表されたばかりのコンピュータ将棋は、東京大学の169台のマシンからなるクラスタで、コア数676という規模。激指GPS将棋BonanzaYSSを擁する多数決合議による指し手決定を行います。世界コンピュータ将棋選手権の上位の常連たちによる競演は、floodgate3時間対局の内容を見てもかなりハイレベルなものになりそうです。

3年前の「渡辺竜王vsボナンザ」と同様、当日はネットで棋譜がライブ中継され、加えて現地の東京大学本郷キャンパスでは大盤解説会に指導対局が併催されます(ただし対局が非公開である点は異なります)。ライブ中継サイトは、女流棋士会ファンクラブ駒桜ホームページ日本将棋連盟モバイルで、ともに今年発足した新しいサイトです。解説を担当する棋士には藤井猛九段の名が挙がっており、特に東京近郊のファンの皆さんはこの機会を逃したくないところでしょう。

対局の細かい規定は、日本将棋連盟と情報処理学会との対戦の覚書で確認することができます。さらに詳細な内容については、情報処理学会の窓口までお問い合わせください。また、清水女流王将を応援したい方は、駒桜をお尋ねください。

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「情報処理」 Vol.51 No.8 「コンピュータ将棋の不遜な挑戦」

追記: こちらのサイトで「情報処理」Vol.51 No.8の電子書籍版を購入できます。記事すべてをお読みになりたい方は、記事ごとのばら売りを購入するよりも安価です。

追記2(8/21): コメント欄でのご指摘、および情報処理学会からもご指摘があり、電子書籍版の「情報処理」は期限が切れると読めなくなるようなことはないそうですので、ご購入後のご心配は無用です。電子書籍版を利用されない方には、図書購入申込サイトが用意されており、「その他(購入数・在庫状況等)」欄に『「情報処理」Vol.51 No.8を1冊』という要領で指定することによって注文できるそうです。

今や情報処理学会の学会誌「情報処理」の年1回の定期記事となった、世界コンピュータ将棋選手権の特集記事が今年も出ました。「コンピュータ将棋の不遜な挑戦」と名づけられたミニ特集は、昨年からさらに増えて37ページ(ミニ特集>小特集のようです)。最近になく分厚い今号の中でもかなりの存在感があります。目次から、各記事の1ページ目をブラウザで見ることができます。

特に今年は、10月に清水女流王将とコンピュータ将棋との対局が控えており、これが「不遜な挑戦」として紹介されています。登場するコンピュータ将棋が「あから2010」っと命名されたことも発表されています。続いて、例年通り世界コンピュータ将棋選手権の詳報と、そこへ投入された最新の研究の解説、プロ棋士による講評と続きますが、研究内容は「平均化パーセプトロン」や「マージン制御」を活用した棋譜からの学習の高効率・高精度化、および探索の大規模クラスタ化と、開発者にとって必読の内容。また今回講評を書いているのは、現在王位戦深浦王位に挑戦中(現在2勝2敗)の広瀬六段世界コンピュータ将棋選手権の現地解説でその内容に舌を巻いた様子が描かれており、トッププロもコンピュータの強さを認めています。加えて今号では、頭脳ゲームの研究者で将棋のアマチュア強豪でもある古作登さんが、コンピュータ将棋と対戦する人間棋士がいかにコンピュータの弱点を衝いて勝機を見出すか、という異色の記事を書いています。これはプロ棋士、特に清水女流王将にとって必読の内容。最後に、日本将棋連盟米長会長世界コンピュータ将棋選手権の講評と挑戦状対局の展望を書いています。

年1回のコンピュータ将棋特集は、「情報処理」で学会誌らしくない記事が多く読める貴重な機会でもあります。研究を紹介している記事は論文に近い内容で、ちんぷんかんぷんという方も多いと思いますが、通常の論文とは異なり、開発や勝負にかける心情や裏話などが散りばめられており、深みのある内容になっています。記事は情報処理学会のサイトで記事単位で購入することもできますが、例年よりさらに記事数が増えた今年は学会誌を1冊購入されることをお勧めいたします。図書館、あるいは多くの学校や職場の書庫でも見ることができるでしょう。

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