Archive for コンピュータ

第5回 コンピュータ将棋世界最強決定戦

昨年冬の第4回に引き続き、第5回 コンピュータ将棋世界最強決定戦が開催されます。前回と同じく北陸先端科学技術大学院大学にて2日間の総当たり戦。1月14日(木)、15(金)に開催されます。世界コンピュータ将棋選手権と異なり、少数精鋭の選抜大会。激指GPS将棋TACOS大槻将棋が世界一を競います。

棋譜中継はもちろん、毎年恒例のプロ棋士による解説の動画中継も行われます。北陸先端大のブロードバンド中継設備で行われるため高画質です。平日ではありますが、コンピュータ将棋の解説と対局風景を高品位画像で見られる数少ない機会ですので、可能な方はご覧ください。対局規定などの情報は、世界最強決定戦のページでご確認を。

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「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第2回は学習

月刊将棋世界2010年1月号にて「コンピュータは七冠の夢を見るか?」の連載が始まったことは先月お伝えしました。年末に発売された2月号の第2回では、「ボナンザメソッド」による評価関数の学習が解説されています。やや出遅れ感がありますが、改めて紹介します。

コンピュータが学習を行うことによって優れた処理を獲得する、という概念は本来、大学の専門分野レベルの難しい内容です。加えてボナンザメソッドは保木邦仁さんによって数年前に開発されたばかりの新しい技術ですから、学術書や教科書でない一般向けの雑誌でその詳細を説明する、というのは異例のことです。しかし6ページのコンパクトな記事では、「将棋の指し手が理解できる」もしくは「将棋の実力の向上を目指している」読者を想定した上で、非常にわかりやすく、イメージが浮かびやすい解説が読めます。

もちろん、この記事だけで学習を行う将棋プログラムをいきなり開発するのは困難ですが、「なぜコンピュータはよい手が指せるようになったのか」を初学的に理解するには最適なテキストになっていると思います。これからコンピュータ将棋を開発したい人がもし熱心な将棋ファンだったら、教科書で学ぶ前にまずこの記事を読むことが一番の近道なのではないでしょうか。一方、将棋に対する知識や興味を活用したコンピュータ技術入門としても面白く読めるはずです。

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第20回選手権用ライブラリ募集中

当協会サイトにて現在、世界コンピュータ将棋選手権使用可能ライブラリを募集しております。今回募集しているのは、来年5月2日~4日に開催予定の第20回世界コンピュータ将棋選手権を対象とするライブラリで、募集期間は2009年12月31日までです。


今年大きな話題となった
ライブラリルールですが、さまざまな議論があるものの現状では賛成意見多数ということで、次回選手権でも採用されます。ただし、やや複雑なものを含めていくつかルール変更が盛り込まれておりますので、使用可能ライブラリに応募予定の方、および使用予定の方はご一読ください。

皆さんのご応募をお待ちしております。

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「コンピュータは七冠の夢を見るか?」将棋世界で連載開始


月刊将棋世界誌にて、今月3日発売の2010年1月号から、「コンピュータは七冠の夢を見るか?」という連載記事が始まりました。プロ棋士の片上大輔六段ponanza開発者の山本一成さんGPS将棋開発者の金子知適さん、松本哲平さんの東大カルテットによる、164ページからの6ページの記事です。

連載第1回の内容は、第19回コンピュータ将棋選手権で優勝したGPS将棋の紹介、GPS将棋第19回コンピュータ将棋選手権の対激指戦で見せた指し手の分析、GPS将棋によるプロのタイトル戦’(佐藤八段vs羽生王位)の実戦譜を検討させた結果の分析と、詳細な内容を凝縮しています。

連載第1回ということもあり、「今のコンピュータ将棋はこんなに強い」というところを紹介することが主眼のひとつになっているようです。将棋の専門誌らしく指し手の解説のレベルが高く、コンピュータ将棋開発者が読むには難しい内容かもしれませんが、プロ棋士とコンピュータ将棋開発者の両者が執筆しているだけあって、この手の記事にありがちな技術的に的外れなところがありません。将棋ファンにも、コンピュータ将棋開発者にも、プロとコンピュータの特徴と差異がよくわかるという点で、一読をお勧めしたい内容になっています。

漏れ伝わるところによれば、今後もさまざまな角度からコンピュータ将棋が紹介される予定のようです。解説の主眼も、指し手から実装技術に向けて徐々に変化してくるものと思われますので、コンピュータ将棋開発者に親しみやすい記事も読めることでしょう。楽しみです。

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GPW杯コンピュータ将棋はBonanza楽観合議が制す

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ご報告がかなり遅れてしまいましたが、11月13日(金)~15(日)にゲームプログラミングワークショップ(GPW)2009が開催されました。今年のGPW杯のコンピュータ将棋部門は、リーグ表のとおりBonanza楽観(的)合議が9戦全勝で優勝しました。おめでとうございます。その他、GPW杯5五将棋部門の結果も発表されています。

Bonanza楽観(的)合議のリンクは便宜上、文殊と同じになっていますが、楽観的合議については新着情報としてこちらのPDFファイルで技術的な内容を見ることができます。前回の記事では触れませんでしたが、エキシビション対局に登場した文殊も実は楽観的アルゴリズムを搭載した同じものでした。単純に評価値の良いものを信じるなんて単なる勝手読みでは…と思ってしまいますが、これによって6割勝てるようになった、という実力を対コンピュータでも、そして2チームの参加があった人間相手でも証明しました。

7勝2敗の2位グループには、GPS将棋大槻将棋に加え、篠田正人さんが入り、「コンピュータに将棋の厳しさを示した」として表彰されました。篠田さんは奈良女子大理学部准教授にしてアマチュア将棋の全国大会で複数回の優勝をおさめているアマ強豪ですが、25分切れ負けという人間にとって過酷な条件、しかもかなりの夜更かし状態(これは運営の不手際が主な原因です。申し訳ありません)でこの成績は驚異的。特に、エキシビション対局にて稲葉聡さんに勝利したGPS将棋に勝った将棋は圧巻で、近日中に公開予定の棋譜を是非ご覧ください。

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