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将棋電王戦FINAL開幕、斎藤五段勝ちプロ棋士チーム先勝

本日3月14日(土)、将棋電王戦FINALが開幕。二条城で行われた第1局斎藤慎太郎五段Apery戦は斎藤五段が115手で勝ち、団体戦としてはプロ棋士チームが先勝しました。

戦型は先手斎藤五段の居飛車に対し後手Aperyのクラシック(角道を止める)四間飛車。序盤からAperyが一手ごとに時間を費やしてスローペースで進んでいましたが、斎藤五段が23手目▲6六銀と上がってAperyの26手目△4五歩を誘い、すぐに▲5七銀と戻って角交換を挑み予想外に早く開戦。対するAperyが「来るなら来い」とばかりに28手目△6五銀と出たのが強気に過ぎたようで、斎藤五段が▲3三角成~▲2四歩と攻め飛車先を突破、さらに▲2一飛成~▲6一龍と金を取って駒得する大きな戦果を手にしました。その後は斎藤五段がわずかな優勢を徐々に拡大し、波乱を思わせる局面を一度も出現させることなく後手玉を攻略しました。

Aperyの△6五銀は見るからに危険な一手でしたが、先手にだけ飛成を許しても悪くない、というのが開戦当初のAperyの読みだったようです。これは解説会場で評価値を披露していた習甦など他のコンピュータ将棋も同様の判断をしていたようです。現代のコンピュータ将棋の課題として、正しく評価できない局面が突きつけられたのかもしれません。

今回、コンピュータ将棋側の駒の操作を担当する電王手さんは、昨年の電王手くんからさらに進化したロボットアーム。昨年の吸着方式から駒をつかんで移動する方式に変わり、盤側の補助器具に頼ることなく自らの手の中で駒を成る動作をこなし、最後は神妙に投了の意志表示を行っていました。

過去いずれもコンピュータ将棋側の勝ち越しで終わっていた電王戦、ゆえに “FINAL” と銘打たれている今回の戦いですが、昨年の豊島将之七段以来3戦ぶりのプロ棋士の勝利、また阿部光瑠四段(現五段)以来2年ぶりにプロ棋士チームの団体戦先勝で始まり、一層大きな盛り上がりを見せています。結果はともかく注目を浴びるのはコンピュータ将棋の開発者陣も望むところ。来週3月21日(土)の第2局高知城で行われる▲Selene–△永瀬拓矢六段戦が、ますます楽しみです。

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あすから将棋電王戦FINAL

本当にけじめの戦いとなるのでしょうか。将棋電王戦FINALが明日、京都で開幕します。あいにく、第一局当協会3月例会・総会と重なってしまいました。

第一局2015年3月14日): ▲斎藤慎太郎五段 – △Apery 対局場 二条城

第二局同3月21日): ▲Selene – △永瀬拓矢六段 対局場 高知城

第三局同3月28日): ▲稲葉陽七段 – △やねうら王 対局場 五稜郭

第四局同4月4日): ▲ponanza – △村山慈明七段 対局場 薬師寺

第五局同4月11日): ▲阿久津主税八段 – △AWAKE 対局場 東京将棋会館

直前まで対局場の発表がありませんでしたが、上記のとおり、前回同様に日本列島を縦断して行われます。

昨年末から毎日新しい動画が公開されている、電王戦FINALへの道では、公式戦で高勝率を誇る5人のプロ棋士チームの秘策の一端が伺える場面もあり、過去3回すべて勝ち越しているコンピュータ将棋チームも今度こそは一筋縄ではいかないかも、と思わせます。しかしコンピュータ将棋も前回からさらに容赦のないレベルアップを果たしており、本当に付け入る隙があるのか? FINALと銘打った5局が終わったらどうなってしまうのか? 人間とコンピュータの新たな関係が始まるのか? …等々、想像と妄想が広がる一方、予断を許さない勝負であることを実感させられます。

上記リンクから、ニコニコ生放送の視聴もしくはタイムシフト予約のページに飛ぶことができます。進化した電王手さんも登場し、今や日本一注目を集めるエンターテインメント技術大戦となった将棋電王戦、FINALは間もなくです。

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100万円チャレンジ、コンピュータ将棋の連勝止まる

本日行われた、電王AWAKE(ノートPC)に勝てたら100万円!初日にて、AWAKEに勝って100万円を獲得した挑戦者が現れました。勝ったのは、全国アマチュア王将位大会で優勝の経験のある山口直哉さん。当ブログで昨年紹介した電王ponanzaに勝てたら賞金100万円! では初代電王ponanzaが166戦全勝して誰にも100万円を渡さず、ponanzaが20万円を獲得しましたが、ついに電王の牙城が崩れました。内容もコンピュータ将棋の弱点を突く周到な作戦による完勝。明日まで続く今回の企画で同様の策で勝利を収め100万円を手にする挑戦者が続出する可能性もありそうです。

その周到な作戦とは、序盤に角交換した後、振飛車で▲4八玉▲2七銀という形で待機して香取りの△2八角の打ち込みを誘う、というもの。思惑通り△2八角が打ち込まれたら香を逃げ、△1九角成に▲3八玉~▲4八金直~▲6九飛~▲1七桂の要領で馬を捕獲し大きな駒得を実現します。現実には駒得が達成されるまで相当に手数がかかり、後手からの反撃を許さず構想を完遂するのは容易なことではないのですが、それだけにコンピュータ将棋にとっても罠を見破りにくく、△2八角と打ち込んでしまいやすいようです。

一昨年のGPS将棋に挑戦する企画以来、繰り返し行われている100万円争奪企画。コンピュータ将棋の容赦のない強さに感嘆する企画であると同時に、高額賞金を狙う人間の秘策が多数披露される場でもあります。今回成功した作戦のように、劣勢がはっきりするまで長い手数がかかる局面に誘導する策はコンピュータ将棋が見破りにくいことが以前から知られており、映像ドキュメンタリーシリーズ「電王戦FINALへの道」でも、ひねり飛車模様から飛車をわざと成らせることで優勢になる対策が示されました。しかし現実の100万円争奪企画などで作戦を成功させるのは容易ではなく、これをコンピュータ将棋の弱点と言ってよいかどうかは必ずしも明らかでない、ともいえました。今回も、△2八角を打たせる作戦で失敗したものも何局かありました。しかし、コンピュータ将棋が敗れる結果が出ることで、プロに勝つレベルのコンピュータ将棋にもまだ課題がある、すなわち、もっと強くなる余地がある、ということが示されたといえます。

当ブログ主としては、このようにコンピュータ将棋に課題を突きつける試みを歓迎したいと思います。有力な対策が具体化されれば、コンピュータ将棋の開発者によってその状況をテストで再現することができるようになり、その対策を研究開発して克服することができる、すなわち、もっと強くなれるからです。かつて稲庭将棋の登場でそのような状況が現れました。世界コンピュータ将棋選手権でも、秘策の登場をお待ちしています。電王AWAKE(ノートPC)に勝てたら100万円!明日まで行われますので、当日対戦枠は競争率の高い抽選となりそうではありますが、同様の策の用意がある実力者の方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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第25回世界コンピュータ将棋選手権 参加募集〆切迫る

第25回世界コンピュータ将棋選手権の〆切が、あす1月31日(土)に迫っています。お忘れの場合はお早めに手続きを。お申し込みはこちらです。

土曜日は金融機関が…とご心配の方もおられるかと思われますが、土曜日でも稼働しているゆうちょATMがあれば送金が可能です。詳しい利用条件は、ゆうちょATMのご案内-ゆうちょ銀行をご覧ください。今回は秒読みルールの導入など変更点がやや多いのですが、何よりもまずは参加お申し込みを。

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第25回世界コンピュータ将棋選手権 参加者募集中

1週間前から、第25回世界コンピュータ将棋選手権の参加者募集を開始しています。申込受付は来月1月末までです。

昨年から変わった点のうち主なものを簡単に列挙しておきます。

  • 昨年までの切れ負けルールから、秒読みのあるルールに変更されました。持時間600秒(=10分)をすべて使い切った後でも1手10秒未満で着手すれば時間切れにはなりません。また、1手最低1秒消費するルールはなくなり、1秒未満で着手された場合には消費時間0秒となります。
  • 256手に到達した時点で自動的に対局が終了します。256手の時点で先手玉が詰みの状態になっている場合は後手勝ちとなりますが、それ以外で256手時点で投了・勝利宣言・反則のいずれも成立していない場合は引き分けとなります。これは秒読みルール導入後も一定時間内に対局を終了させるためのルールです。
  • 招待プログラムのルールが廃止されます。リーグ戦の参加チームが奇数のとき、各回戦で不戦勝のチームが1チーム生じます。将棋電王トーナメントの予選リーグに近いルールとなります。
  • 開催日時は5月3日(日、祝)〜5日(火、祝)です(曜日を除いて昨年と同じです)。
  • 使用可能ライブラリは2015年1月31日時点で登録されているライブラリです。

詳しくは、第25回世界コンピュータ将棋選手権 参加者募集のお知らせの「昨年からの主な変更点」をご覧ください。

会場は前回に引き続き、千葉県木更津市のかずさアークです。東京駅から高速バス(アクシー号)に乗り約1時間で直接会場に着くことができます。東京方面から自家用車で来られる方は、東京湾アクアラインを利用されるのがよろしいでしょう。

多くのご参加のお申し込みをお待ちしております。

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