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将棋電王戦FINAL対戦カード発表、サイドイベントには2人のビッグネーム、継ぎ盤戦も

本日11月26日(水)の記者会見にて、将棋電王戦FINALの全5戦の組み合わせが発表されました。以下のとおりです:

第一局2015年3月14日): ▲斎藤慎太郎五段 – △Apery

第二局同3月21日): ▲Selene – △永瀬拓矢六段

第三局同3月28日): ▲稲葉陽七段 – △やねうら王

第四局同4月4日): ▲ponanza – △村山慈明七段

第五局同4月11日): ▲阿久津主税八段 – △AWAKE

上記の組み合わせは放送の事前に用意されていましたが、手番については従来にならって記者会見場での振り駒で決定されました。会場に登場して駒を振ったのは何と、1997年にコンピュータチェスのディープブルーと対戦したことで知られる元チェス世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフ氏でした。

そのカスパロフ氏、明後日11月28日(木)に羽生善治四冠王(もちろん将棋の)とチェス対局を行い、その模様もまたニコニコ生放送で中継されます。トーナメントプレーヤーとしては引退して久しいカスパロフ氏ですが、チェスの実力は現在でも世界10指に入るとのことで、四冠王とはいえ将棋のプロ棋士との対戦はきわめて異例。電王戦の縁で2人のビッグネームの戦いが実現することになります。

その羽生四冠王は、第1局の前月の2015年2月8日(日)リアル車将棋豊島将之七段と指します。本物の自動車を駒に見立てた将棋、というよりも、人間将棋のクルマ版、と言った方がわかりやすいかもしれません。豊島七段の操る車の車種はユーザー投票で決まります。すでに投票募集を開始しています。

さらに、過去2度行われた「リベンジマッチ」の3局目が、今年の大みそか森下卓九段ツツカナの再戦で行われます。第3回電王戦でツツカナが勝ってコンピュータ将棋チームの勝ち越しを決めた対局の後、記者会見での森下九段の「継ぎ盤があれば…」との発言を受け、対局用の将棋盤とは別の将棋盤を森下九段が専用で使用、持時間が切れた後も1手10分の時間が与えられることで読みの精度を高める、という貴重な条件戦となります。

さらに、前回多くの話題をさらった電王手くんは、次回さらに改良されてコンピュータ将棋側の駒を動かすとのことです。多すぎるほどの見どころ、これから5ヶ月間、コンピュータ将棋のことが頭から離れなくなりそうです。

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第2回将棋電王トーナメントはAWAKEが優勝

11月1日(土)〜3日(月、祝)に開催された第2回将棋電王トーナメントAWAKEが優勝し、賞金250万円を獲得しました。おめでとうございます。

AWAKE開発者の巨瀬亮一さんは、過去に奨励会でプロ将棋棋士を目指していた経歴の持ち主。世界コンピュータ将棋選手権にも3回出場しています。将棋電王トーナメントは第1回に続く出場でビッグタイトル獲得。第1回から21戦全勝を続けていたPonanzaとの決勝戦は苦しい戦いであったものの、難解な終盤戦に生じたチャンスをとらえ逆転、強さを示しました。

優勝のAWAKE、準優勝のPonanza、3位やねうら王、4位Selene、5位Aperyの上位5チームは将棋電王戦FINALプロ棋士チームと対戦することが決まりました。こちらがFINALと銘打たれているのは残念ですが、将棋電王トーナメントは第3回も準備されるとのことで、統一ハードウェア・本戦ノックアウトトーナメント・高額賞金が特徴のこの大会は今後も見ることができそうです。

トーナメントの模様は、今からでもニコニコ生放送のタイムシフト録画で視聴することができます(初日2日目最終日。視聴にはniconicoのユーザー登録が必要)。クライマックスの場面も簡単に見つけることができますので、見逃した方も是非どうぞ。

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あすから第2回将棋電王トーナメント

第2回将棋電王トーナメントが11月1日(土)〜3日(月、祝)に開催されます。

昨年の第1回と同じく賞金総額500万円(優勝250万円)のビッグトーナメント、かつ来年の将棋電王戦FINALのコンピュー タ側代表決定戦です。ハードウェアは8コアCPUを搭載したGALLERIA電王戦モデルに統一され、ソフトの技術で争われます。

参加者の募集は終了しており、出場者一覧はこちら。トーナメントの模様は昨年と同様、ニコニコ生放送で中継されます(初日2日目最終日。視聴にはniconicoのユーザー登録が必要)。

第2回将棋電王トーナメントの上位5チームと将棋電王戦FINALで対決するプロ棋士チームは、阿久津主税八段村山慈明七段稲葉陽七段永瀬拓矢六段斎藤慎太郎五段の5人であることが、西尾明六段の優勝で幕を閉じた先日の電王戦タッグマッチ2014の後に発表されています。第2回将棋電王トーナメントはFINALとは銘打たれていないものの、プロ棋士と公式戦を争う機会はこれが最後? ということで、高額賞金の行方以上の注目を集めそうです。

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ゲームプログラミングワークショップ2014 参加申込〆切間近

第18回ゲームプログラミングワークショップ 2014 (GPW-14)が、昨年と同時期の11月7日(金)~9日(日)に開催されます。参加申込を今月初めから受け付けており、10月30日(木)が申込〆切(参加費の振込も)となります。金曜日にお仕事のある方はお休みのご手配を。

今回もプログラム中にあるようにGPW杯コンピュータ将棋大会2014を開催します。今回のルールは持時間10分、切れたら1手10秒の秒読みとなります。昨年から導入された秒読みルールを採用しますが、時間が昨年とは異なりますのでご注意ください。詳しくは開催のお知らせをごらんください。

上記のコンピュータ将棋大会のほか、GPW杯フリースタイル将棋大会、GPW杯コンピュータ囲碁大会(9路盤/13路盤)、GPW杯デジタルカーリング大会が開催される予定です。フリースタイル将棋大会はいわゆるアドバンスト将棋、すなわち堂々とコンピュータの力を使える、事実上「なんでもあり」の将棋大会。デジタルカーリング大会ロボカップシミュレーションリーグのカーリング版といえるゲームですが、人間の参加も可能。恒例の将棋、囲碁に加えて新たな2競技がGPW杯として開催されるようになり、箱根の秋の夜長はいよいよ体力勝負になってきた感じです。

本題のプログラム (変更の可能性あり)も多彩な内容の研究発表のほか、招待講演2件が今年も催されます。2件は「シリアスゲーム論」と「コンピュータシャンチー(中国象棋)」です。

多くのご参加を楽しみにしております。

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将棋電王戦、次回がFINAL

8月29日、「将棋電王戦に関する記者発表会2014」が行われ、その模様がニコニコ生放送にて中継されました(予約可能な会員のみ録画映像を視聴可能)。2015年3月~4月、今年の第3回に続き将棋電王戦が開催されることが発表されましたが、次回が将棋電王戦FINAL、すなわち、現行フォーマットの将棋電王戦が来春で最後になることが明らかにされました。

代わって、電王戦のブランド名は電王戦タッグマッチに存続されて昨年に続き今年も行われます。このタッグマッチは2016年から、将棋界の2大タイトルである竜王戦名人戦に次ぐ賞金規模の棋戦として毎年開催されることになるようです。すなわち、プロ棋士にとってのコンピュータ将棋が敵から味方に変わり、コンピュータ将棋がその技術を使ってプロ棋士に高額賞金を獲得させる、という別の役割が期待されることになります。高い貢献が認められればコンピュータ将棋開発者にも高額な分け前があるかも? 楽しみですね。

今年の電王戦タッグマッチ2014昨年の5チームのトーナメントから12チームに大幅拡大されて3日間にわたり開催され、この模様もニコニコ生放送で中継されます。

将棋電王戦FINALへの出場棋士は10月12日、電王戦タッグマッチ2014の最終日に発表されます。タイトルホルダーの出場はないそうですが、20代~30代前半で勝率6割4分~5分以上の高勝率棋士が出揃う予定とのことで、タイトルホルダーよりも手ごわい相手となるかもしれません。

将棋電王戦FINALのルールは、第3回電王戦と変わらないようです。現在出場者募集中の第2回将棋電王トーナメント上位5チームが将棋電王戦FINALのコンピュータ将棋側の出場者となり、両方で全出場者共通のハードウェアを使用しなければなりません。また将棋電王戦FINAL出場棋士は、対戦するコンピュータ将棋と同一のハード・ソフト環境で事前に練習対局する機会が得られます。昨年、当ブログにて、

特に事前練習の機会が保証されていますので、多数の練習対局を重ねてコンピュータ将棋に勝つ手順を見つけておいて、それを本番で忠実にリプレイすることができれば、今度はプロ棋士チームにも大いに勝機があるのではないでしょうか。

と書きましたが、それが容易に実行できないことが第3回電王戦で示されましたので、それを踏まえてのコンピュータ将棋対策技術の進歩が見られるのか、注目されます。そして勿論、最大の注目点は、コンピュータ将棋が第3回電王戦をさらに上回る情け容赦のない強さを将棋電王戦FINALで見せてくれるのかどうか、ですね。

さて、過去3回の将棋電王戦は、団体戦としてコンピュータ将棋チームの3連勝(第1回は1局だけではありますが…)、個別対局としてもコンピュータ将棋の8勝2敗1分となっており、次回が最後となれば2つの意味でコンピュータ将棋の勝ち越しが確定、ということになります。将棋電王戦の名は、コンピュータ将棋の技術がプロ級に進歩したことを証明したものとして、永く歴史に残るでしょう。

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