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大波乱の幕切れ、優勝はBonanza

第23回世界コンピュータ将棋選手権の決勝リーグが本日行われ、リーグ戦5勝2敗のBonanzaが7年ぶり2度目の優勝を果たしました。

Bonanzaは総当たりリーグ戦の最終局、第7回戦でGPS将棋との直接対決による優勝争いに勝って優勝を決めました。第7回戦の全4局の中でもっとも遅く終局した本局は、GPS将棋が終始好調に攻めて勝勢を築き、最後にはBonanzaの玉に詰み筋が生じてGPS将棋の2連覇かと思われましたが、GPS将棋の大規模クラスタが残り時間切迫による並列処理の不協和と思われる現象を起こして詰みを逃し、対局が長引いたことによりGPS将棋の持時間がすべて消費され、Bonanzaの時間切れ勝ちと判定されました。

Bonanzaは最終局開始時には自力優勝のない状態でしたが、同じく最終局でYSS習甦に勝ったことで自力優勝の可能性が復活、自らの逆転勝ちで優勝が転がり込みました。Bonanzaは2006年の第16回選手権に初出場で優勝して以来の優勝。当時、これをきっかけに渡辺竜王との対局を翌2007年に実現し、現役プロ棋士との初の公式の平手戦として大きな注目を浴びました(結果は惜敗)が、昨年の第22回選手権では決勝リーグ進出を逃したため先日の第2回電王戦には出場していませんでした。

同5勝2敗ながら規定により準優勝となったのは第2回電王戦でコンピュータ将棋として現役プロ棋士との対戦で初の勝利を記録したponanza、次いで第3位には同5勝2敗のGPS将棋が入りました。

最後に決勝リーグの結果を掲載します。

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第23回世界コンピュータ将棋選手権、決勝リーグ進出8チーム決まる

追記(5/5): リンクを付加しました。

第23回世界コンピュータ将棋選手権は2日目の二次予選が終了。最終日の決勝リーグに進出する8チームが決まりました。

第2回電王戦に出場した5チームのうち今回の選手権に出場した4チームはすべて決勝リーグ進出。初の決勝リーグ進出を果たしたのは初出場のNineDayFeverでした。また昨年初めて2次予選落ちの苦渋をなめたBonanzaは2年ぶりの進出。さらにYSSは決勝リーグ進出の最多記録を22に伸ばしました。ほか、過去4度の優勝を誇る激指が進出しました。

今日の午後から始まったUSTREAM中継は、あすはほぼ全日程で行われる予定です。

あすの決勝はどんな苛烈な戦いになるでしょうか?

最後に、二次予選の最終順位順の結果をどうぞ。

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第23回世界コンピュータ将棋選手権開幕、8チームが二次予選進出

追記(5/5): リンクを付加しました。

第23回世界コンピュータ将棋選手権は1日目が無事終了し、8チームが一次予選を通過しました。

近年の傾向か、今回も初出場ながらレベルの高いチームが多くありました。NineDayFeverN4ひねもすのたりひまわりの4チームが初出場ながら予選突破。ほか、Apery柿木将棋AWAKE無明4が難関を抜けました。

対局の内容については、棋譜ライブ中継サイトをご覧ください。Twitterのつぶやきも初日から多く集まっています。コンピュータ将棋選手権ネット中継ブログは今年も対局場の映像や熱気を伝えています。

また、今年はあす5月4日・あさって5月5日にUSTREAMにて二次予選・決勝の動画中継が予定されています。

初出場組の躍進はレベルの底上げが急であることを示しており、昨年の一次予選のレベルをさらに高く超える内容でした。あすの二次予選どんな過酷な戦いになることでしょう。

最後に、一次予選の最終順位順の結果をどうぞ。

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あすから第23回世界コンピュータ将棋選手権

あす5月3日から、第23回世界コンピュータ将棋選手権が開催されます。今年はUSTREAMにて2日目と3日目の動画中継を行いますので、是非ご覧ください。棋譜の中継はこちらです。決勝リーグが行われる5日には例年通り、会場である早稲田大学 国際会議場にて大盤解説会が開かれます。以下の地図の会場まで是非お越しください。


より大きな地図で 早稲田大学 国際会議場 を表示


より大きな地図で 早稲田大学 国際会議場 を表示

第2回電王戦でプロ棋士チームに勝ち越した今年のコンピュータ将棋。今回どんな勝負を見せてくれるでしょうか。必見です。

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GPS将棋が三浦八段に勝利、電王戦はコンピュータ将棋が勝ち越し

第2回電王戦の最終第5局が4月20日(土)に行われ、102手でGPS将棋三浦弘行八段に勝ちました。団体戦としての最終成績は、コンピュータ将棋チームが3勝1敗1分でプロ棋士チームを降す形になりました。すでに広く報じられています(朝日新聞読売新聞NHKなど)。

今年の名人戦挑戦権を最後まで争っていたA級八段と、第22回世界コンピュータ将棋選手権に優勝し700台近い大規模クラスタからなるコンピュータ将棋との対戦は、後者の完勝に終わりました。前4局と同様、今回もまたコンピュータ将棋の先攻をプロ棋士が受けて立つ展開。プロ側に悪手らしい悪手はありませんでしたが、GPS将棋は一方的な攻勢を止めることなく勝負を決めました。

プロ棋士チームとコンピュータ将棋チームとの間で争われた初の公式団体戦はコンピュータ将棋チームの勝ち。これでコンピュータ将棋が人智を超えた、というには5局はまだまだ少ないといえます。しかし、最終局のGPS将棋が見せた非の打ち所のない指し回しは、感嘆すべきコンピュータ将棋の強さを広く世に示しました。コンピュータ将棋は、将棋の内容、レベルの高さを間違いなく証明しました。

もっとも、人類との対戦はこれで終わりではないでしょう。次の機会、プロ棋士はコンピュータ将棋を惑わす策を編み出すか? あるいは、いよいよ最強の棋士が登場するか? 社会の注目を集めた今回の5戦勝負は、将棋ファンのみならず、社会的な想像力をかきたてたことでしょう。

また、今回の5戦は、コンピュータ将棋の、そして情報科学の興味深い示唆も与えています。プロ棋士の策に落ちコンピュータ将棋が完敗した初戦、一進一退の攻防が続くも最後にコンピュータ将棋競り勝った第2戦、コンピュータ将棋がしたたかさと脆さの両面を見せるも最後は忍耐の末に勝利した第3戦、「入玉」という状況の急変に翻弄されコンピュータ将棋が勝利を逸した第4戦、そして巨大戦力の完璧さを披露した最終戦。いずれも今後のコンピュータ将棋、そして広く情報科学の研究に必ず参照される題材となることでしょう。

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