GPS将棋が三浦八段に勝利、電王戦はコンピュータ将棋が勝ち越し

第2回電王戦の最終第5局が4月20日(土)に行われ、102手でGPS将棋三浦弘行八段に勝ちました。団体戦としての最終成績は、コンピュータ将棋チームが3勝1敗1分でプロ棋士チームを降す形になりました。すでに広く報じられています(朝日新聞読売新聞NHKなど)。

今年の名人戦挑戦権を最後まで争っていたA級八段と、第22回世界コンピュータ将棋選手権に優勝し700台近い大規模クラスタからなるコンピュータ将棋との対戦は、後者の完勝に終わりました。前4局と同様、今回もまたコンピュータ将棋の先攻をプロ棋士が受けて立つ展開。プロ側に悪手らしい悪手はありませんでしたが、GPS将棋は一方的な攻勢を止めることなく勝負を決めました。

プロ棋士チームとコンピュータ将棋チームとの間で争われた初の公式団体戦はコンピュータ将棋チームの勝ち。これでコンピュータ将棋が人智を超えた、というには5局はまだまだ少ないといえます。しかし、最終局のGPS将棋が見せた非の打ち所のない指し回しは、感嘆すべきコンピュータ将棋の強さを広く世に示しました。コンピュータ将棋は、将棋の内容、レベルの高さを間違いなく証明しました。

もっとも、人類との対戦はこれで終わりではないでしょう。次の機会、プロ棋士はコンピュータ将棋を惑わす策を編み出すか? あるいは、いよいよ最強の棋士が登場するか? 社会の注目を集めた今回の5戦勝負は、将棋ファンのみならず、社会的な想像力をかきたてたことでしょう。

また、今回の5戦は、コンピュータ将棋の、そして情報科学の興味深い示唆も与えています。プロ棋士の策に落ちコンピュータ将棋が完敗した初戦、一進一退の攻防が続くも最後にコンピュータ将棋競り勝った第2戦、コンピュータ将棋がしたたかさと脆さの両面を見せるも最後は忍耐の末に勝利した第3戦、「入玉」という状況の急変に翻弄されコンピュータ将棋が勝利を逸した第4戦、そして巨大戦力の完璧さを披露した最終戦。いずれも今後のコンピュータ将棋、そして広く情報科学の研究に必ず参照される題材となることでしょう。

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