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清水市代女流王将vsあから2010、対局詳細決定

挑戦状に始まった、将棋連盟棋士とコンピュータ将棋の対局の内容が、対局を49日後に控えた今日、日本将棋連盟情報処理学会の双方から発表されました。

「あから2010」という名が先日発表されたばかりのコンピュータ将棋は、東京大学の169台のマシンからなるクラスタで、コア数676という規模。激指GPS将棋BonanzaYSSを擁する多数決合議による指し手決定を行います。世界コンピュータ将棋選手権の上位の常連たちによる競演は、floodgate3時間対局の内容を見てもかなりハイレベルなものになりそうです。

3年前の「渡辺竜王vsボナンザ」と同様、当日はネットで棋譜がライブ中継され、加えて現地の東京大学本郷キャンパスでは大盤解説会に指導対局が併催されます(ただし対局が非公開である点は異なります)。ライブ中継サイトは、女流棋士会ファンクラブ駒桜ホームページ日本将棋連盟モバイルで、ともに今年発足した新しいサイトです。解説を担当する棋士には藤井猛九段の名が挙がっており、特に東京近郊のファンの皆さんはこの機会を逃したくないところでしょう。

対局の細かい規定は、日本将棋連盟と情報処理学会との対戦の覚書で確認することができます。さらに詳細な内容については、情報処理学会の窓口までお問い合わせください。また、清水女流王将を応援したい方は、駒桜をお尋ねください。

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「情報処理」 Vol.51 No.8 「コンピュータ将棋の不遜な挑戦」

追記: こちらのサイトで「情報処理」Vol.51 No.8の電子書籍版を購入できます。記事すべてをお読みになりたい方は、記事ごとのばら売りを購入するよりも安価です。

追記2(8/21): コメント欄でのご指摘、および情報処理学会からもご指摘があり、電子書籍版の「情報処理」は期限が切れると読めなくなるようなことはないそうですので、ご購入後のご心配は無用です。電子書籍版を利用されない方には、図書購入申込サイトが用意されており、「その他(購入数・在庫状況等)」欄に『「情報処理」Vol.51 No.8を1冊』という要領で指定することによって注文できるそうです。

今や情報処理学会の学会誌「情報処理」の年1回の定期記事となった、世界コンピュータ将棋選手権の特集記事が今年も出ました。「コンピュータ将棋の不遜な挑戦」と名づけられたミニ特集は、昨年からさらに増えて37ページ(ミニ特集>小特集のようです)。最近になく分厚い今号の中でもかなりの存在感があります。目次から、各記事の1ページ目をブラウザで見ることができます。

特に今年は、10月に清水女流王将とコンピュータ将棋との対局が控えており、これが「不遜な挑戦」として紹介されています。登場するコンピュータ将棋が「あから2010」っと命名されたことも発表されています。続いて、例年通り世界コンピュータ将棋選手権の詳報と、そこへ投入された最新の研究の解説、プロ棋士による講評と続きますが、研究内容は「平均化パーセプトロン」や「マージン制御」を活用した棋譜からの学習の高効率・高精度化、および探索の大規模クラスタ化と、開発者にとって必読の内容。また今回講評を書いているのは、現在王位戦深浦王位に挑戦中(現在2勝2敗)の広瀬六段世界コンピュータ将棋選手権の現地解説でその内容に舌を巻いた様子が描かれており、トッププロもコンピュータの強さを認めています。加えて今号では、頭脳ゲームの研究者で将棋のアマチュア強豪でもある古作登さんが、コンピュータ将棋と対戦する人間棋士がいかにコンピュータの弱点を衝いて勝機を見出すか、という異色の記事を書いています。これはプロ棋士、特に清水女流王将にとって必読の内容。最後に、日本将棋連盟米長会長世界コンピュータ将棋選手権の講評と挑戦状対局の展望を書いています。

年1回のコンピュータ将棋特集は、「情報処理」で学会誌らしくない記事が多く読める貴重な機会でもあります。研究を紹介している記事は論文に近い内容で、ちんぷんかんぷんという方も多いと思いますが、通常の論文とは異なり、開発や勝負にかける心情や裏話などが散りばめられており、深みのある内容になっています。記事は情報処理学会のサイトで記事単位で購入することもできますが、例年よりさらに記事数が増えた今年は学会誌を1冊購入されることをお勧めいたします。図書館、あるいは多くの学校や職場の書庫でも見ることができるでしょう。

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floodgateで長時間対局

コンピュータ将棋対局場floodgateにて、先月から持時間3時間、それを使い切ると1手1分以内の秒読み、という長時間の「コンピュータ将棋順位戦(仮)」が行われるようになっています。すでに多くのコンピュータ将棋がフリーエントリーして賑わっている15分切れ負け部門と異なり、実力上位のソフトが高性能のコンピュータで動作する少数精鋭部門。現在の参加者は皆、指し手にコメントをつける形で読み筋をリアルタイムで公開しながら指しており、コンピュータたちが何を考えているかよくわかるようになっています。

持時間が通常のfloodgateの12倍以上、世界コンピュータ将棋選手権と比較しても7倍以上になっているだけあって、ほとんどの対局はよりハイレベルな内容になっています。強くなったコンピュータ将棋も、その読み筋を見ると意外な手を読んでいることも多く、世界コンピュータ将棋選手権では期待通りに読んでくれないコンピュータに対する開発者のぼやきがよく聞かれるのですが、持時間3時間では読みも実際の指し手もことごとく急所をとらえているように見受けられます。ただし、ごくまれに、ますます訳のわからない指し手や読み筋になっているものもあるようです。そのような側面からも、観戦して楽しめる内容になっていると思います。特に腕に覚えのある方は、コンピュータ将棋の読み筋と指し手をご自分の読み筋と比較したり、コンピュータ将棋の傾向・強み・弱点などに思いをめぐらせたりしてみてはいかがでしょう。

現在は1日3回、5時・13時・21時の3回のタイミングで対局が開始されるスケジュールが常時稼動しており、都度2局が行われています。もちろん通常のfloodgateと同様、過去の対局もすべてWebで見ることができます。

ちなみにこの持時間設定、秋に控えている大勝負を意識しているように見えますが、私たちはfloodgateで公開実験の現場を見ているのかもしれません。

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「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第8回は並列化

将棋世界 2010年 09月号 [雑誌]


月刊将棋世界9月号の「コンピュータは七冠の夢を見るか?」第8回は、コンピュータ将棋の探索を並列処理によって高速化する方式を解説しています。

並列探索がなぜ必要か、の説明に始まり、そのためのアルゴリズムの解説と、n個のCPUで並列探索しても速度がn倍にならないことの説明、最後に例の清水女流王将との挑戦状対局に投入される予定のスーパーコンピュータの紹介とその学術的意義、というストーリーに沿った内容。並列化アルゴリズムについては、本職のプログラマでも頭の中を整理するのはなかなか大変なのですが、よく読むと理解できるようになっています。ここではアルゴリズムにPVS(Principal Variation Search、最善応酬探索)を使用するものとして述べられていますが、PVSがなぜ高速か、という決して容易でない理論の理解にも適した説明になっていると思います。

今回はかなり困難なテーマで、一般の読者が読みこなすのは大変と思われますが、並列処理の難しさがありつつも、その威力は明確に示されています。また、挑戦状対局が、将棋のみならず一般の情報科学分野に貢献する取り組みであることが理解できるのではないでしょうか。

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週刊将棋アマCOM戦自戦記 全局掲載完了

週刊将棋にて連載中の「第2回週将アマCOM平手戦」は、最新の7月14日号にて2回戦第5局の自戦記が掲載され、10週にわたって全10局の自戦記がすべて掲載されました。やはりコンピュータは強い、ということで、最終成績は発売中の最新号を購入してご確認ください。

次週週刊将棋7月14日号にて、対抗戦の総括が掲載される予定とのことです。

「コンピュータは七冠の夢を見るか?」でも述べられているように、コンピュータにもまだまだ意外な弱点があります。しかし、その隙はますます見えにくいものになっているようです。いかに団体日本選手権を制した最強の東大将棋部チームといえど、持時間の比較的短い対局でその弱点を突くのは至難の業だった、といえそうです。

挑戦状を受けて立つ清水市代女流王将は、果たしていかなる策を用意してこられるのでしょうか。そんな思いをめぐらすにも示唆に富む連載であったと思います。

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