一般向けTV番組に登場する将棋の局面

すでに放映から半月経ってしまいましたが、毎日放送制作のテレビ番組、情熱大陸、佐藤康光棋聖・棋王が登場しました。多くの将棋ファンがご覧になったと思いますが、将棋の局面の解説が何度かありましたね。将棋番組でもないのに意外に何度も解説が入るものだ、と当ブログ主は思いました。皆さんはいかがですか?

当ブログ主がテレビを見ていてこのような感想を持ったのはこれが初めてではありません。実はかつてのコンピュータ将棋関連のニュースが最初のインパクトでした。2005年のアマチュア竜王戦読売新聞社日本将棋連盟共催)にて、コンピュータ代表として初めて人間の全国大会に招待枠で出場した激指がいきなり全国ベスト16進出を果たしたとき、その実力が局面の解説つきで当時のNHKのニュースにて解説されたのです。全国大会の実戦の勝負どころとなった局面の解説ですから当然内容は高度。ごく一握りの視聴者にしかわからない解説をわざわざニュース番組で取材するのは大変だったでしょうに…。そして今年の渡辺竜王vsボナンザNHKのニュースやドキュメンタリーでの詳細な解説のほかに、フジテレビ制作のとくダネ!でも、大和証券杯中継ページの指し手表示画面を使っての解説が放映されました。失礼ながら、ワイドショーを見ている将棋ファンがそう多くいるとも思えないですよね。

しかしよく考えれば、 時に難解な話題をわかりやすく映像化するノウハウは、テレビ局がもっとも得意とするところのはずです。情熱大陸でも、2度にわたって同じ形から玉側の端歩の逆襲を敢行した場面の映像など、印象的な演出が行われていました。それもただ盤に並べるだけでなく、駒の利きや囲いの領域をハイライト表示するなど、将棋の力量や知識だけでは行き届かないポイントもしっかりと押さえられています。実はこの点でもっとも感心したのは、2006年に放映された、伝説の碁打ち 本因坊秀策 ~初心者にも分かる名勝負~、将棋ではなく囲碁の番組でした。耳赤の一手の解説における盤面イメージの表現などは、まさにテレビの真価でしょう。

…と、ただ脱帽しているだけでは能がありません。コンピュータ、そしてネットは、視覚的な表現の場としてもっとも大きな可能性を秘めているはずです。将棋をはじめとしたゲームの空間表現の可能性はテレビが証明してくれているのですから、世界コンピュータ将棋選手権ライブ中継を手がけているコンピュータ将棋協会としても何か考えなければなりません。UEC杯5五将棋大会プレゼンテーション賞が設けられているのも同じ問題意識と思われます。iPodWiiの大ヒットも、優れたユーザインタフェースの賜物。加えてWebでも、Ajaxなどの技術が普及した結果、こんな豪華なサイトも登場してきています。将棋もいずれ、昔ながらの大盤解説がタッチパネルに変わり、盤上をカラフルに彩ることになるはずです。

(図は▲2五飛まで)

  987654321  
      先手金.PNG   
       後手銀.PNG後手玉.PNG 
          
         後手香.PNG
        先手飛.PNG  
    先手馬.PNG      
          
          
          
  

ちょっとした視覚効果を狙って作ってみたのが上の図です。ブラウザのJavaScriptを有効にした状態で、駒の上にマウスカーソルを移動させてみてください。いかにも洗練されていない感じですが、徐々に良くしていこうと思っています。

実は今年立ち上げた当ブログも、将棋にビジュアル革命をもたらすことを当初からの目標のひとつとしています。その試みとして、0.1, 0.2, 0.3をやりましたが…絶望的にショボいですね(汗)。2008年の当ブログは、ビジュアル革命を一番の目標に格上げしようと思います。皆様、良いお年を。

6 Comments »

  1. 太助 said

    素晴らしいですね! 
    当方、諸般の事情により将棋関係の更新は行っていませんが、ウォッチはしています。ので
    ビジュアル革命に大いに期待します。
    ちなみに私自身は来年はイベント情報の共有化みたいなテーマでやるつもりです。
    それでは良いお年を。

  2. おぉ、利きが表示されるだけでも局面の把握がだいぶ楽になりますね。
    私は角・馬の王手を見逃す事が多いので、王手が一目で分かるのも嬉しいです。
    次回選手権ではライブ中継で実験的に使ってみると面白そうですね。
    それでは来年もよろしくお願いします。よいお年を。

  3. >太助さん
    コンピュータ画面の将棋盤は、表現に工夫の余地が多くありそうな一方、伝統芸能ゆえか思い切った試みが今まで少なかったように思います。お互いに新しいアイデアを出し合うことでネットでの相乗効果を生み出したいですね。では、よいお年を。

  4. >森岡@GA将!!!さん
    利きを表示してくれる将棋ソフトは昔からありましたが、ブラウザでできるようにすることに意義があると思います。アイデアは他にもあるので、いろいろ試したいですね。しかし選手権に間に合わせるには真剣に取り組まないといけませんね。では、よいお年を。

  5. masaya said

    私もブラウザで動作させることに大きな意義を感じております。
    以下のページで(とても弱いですが)コンピュータ将棋を開発・公開中です。
    http://akhr.net/jslib/start.htm
    (JavaScript で動作させることにこだわっております。)
    選手権にも一度参加を申し込みましたが,
    バグ発生等により土壇場でキャンセルしてしまった苦い過去があります。

  6. >masayaさん
    サイトを拝見し、トップページにリンクを追加いたしました。
    当ブログはJavaScriptなどのノウハウに乏しいので、勉強になります。
    世界コンピュータ将棋選手権でもお待ちしております。
    今後ともよろしくお願いいたします。

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