Archive for 11月 26, 2007

コンピュータ将棋開発者の勝負術

前回のエントリにて、GPW杯コンピュータ将棋大会2007リーグ表の勝敗が一部誤っておりましたので訂正いたしました。このときの将棋から最終第7局、大槻将棋vs棚瀬寧さん戦について今回触れておきます。といっても、前回ご紹介いたしました大槻さんの自戦記のコメントがすでに詳しく、コンピュータ将棋の技術的話題としても興味深いので、その補足という程度のものです。

人類代表の棚瀬さんは、いわずと知れた棚瀬将棋の開発者。有名なアマ強豪というわけではありませんが、大槻さんのコメントのとおり、コンピュータの弱点を知り尽くしている強敵。じっくり盛り上がる戦術でコンピュータがスキを見せるのを待ち、コンピュータの得意な激しい攻め合いを避ける…という指し方を大会中一貫して続け、コンピュータを苦しめました。しかし、GPW杯世界コンピュータ将棋選手権と同じ25分切れ負けという過酷な条件であるため完璧とはいかず、上位のコンピュータ将棋には苦杯を喫することになりました。人間にとって、LAN対局で行われているGPW杯は、指し手を決めたらすぐにパケットを送信するだけで一瞬にして指せるコンピュータに対して、操作ソフト上でマウスを動かさなければならない分持時間を消費せざるを得ない、という過酷なハンデ戦なのです。そのことに留意されたうえで、GPW杯での指し回しをご覧になれば、昨今の最先端のコンピュータ将棋に勝ちたい、と強く願っている方にとって参考になると思います。

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