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第2回電王戦のカードと日程が決定

訂正(12/31): ルールの記述が一部誤っていたため、公開されているルールに従い修正しました。お詫びいたします。またfloodgateでは持時間4時間の対局が始まりましたが、こちらは1分未満切り捨てのルールはないようです。

日本将棋連盟米長邦雄永世棋聖ボンクラーズが対戦した第1回電王戦からはや1年が経過しようとしていますが、さる12月15日に第2回電王戦のカードと日程が発表されました(米長邦雄永世棋聖・日本将棋連盟会長はこの発表会の3日後に逝去されました。ご冥福をお祈り申し上げます)。発表会はニコニコ動画のスタジオであるニコファーレにて行われ、発表と質疑応答の模様がニコニコ生放送にて生中継されました

全5局の団体戦となる組み合わせは以下のとおりです:

第一局2013年3月23日): ▲阿部光瑠四段 – △習甦

第二局同3月30日): ▲ponanza – △佐藤慎一四段

第三局同4月6日): ▲船江恒平五段 – △ツツカナ

第四局同4月13日): ▲Puella α – △塚田泰明九段

第五局同4月20日): ▲三浦弘行八段 – △GPS将棋

コンピュータ将棋代表の5チームは、第22回世界コンピュータ将棋選手権の5位から1位のチームが順に登場します。当初の予定どおり、上位5チームが参加することが正式に発表されました。

対局は同時にでなく1週間おきに1局ずつ行われます。途中経過にかかわらず5対局がすべて行われます(途中でどちらかが3勝した時点で終了、ということはありません)。対局の模様もすべてニコニコ生放送で放映されます。すべて土曜日に行われますので多くのファンがライブで楽しめるでしょう。すでに3ヶ月以上先の5番組のページが開設され、タイムシフト予約を受けつけています。各番組へのリンクは上記対局一覧、もしくは電王戦のページからたどることができますので、録画予約は忘れないうちにどうぞ。

コンピュータ将棋を迎え撃つ5人のプロ棋士についても、第1回の時点ですでに発表されていた船江五段を含む全員がこの日発表されました。若手棋士3人に加え、タイトル保持経験を持つベテランとA級棋士が加わって多彩な顔ぶれとなり、さまざまな展開の対局が期待できそうです。

全5局の手番はプロ棋士チームとコンピュータ将棋チームが1局ごとに交互に先手番を持ちます。発表会中にて株式会社ドワンゴの川上量生会長によって振り駒が行われ、歩3枚が出たためコンピュータ将棋チームは第二・第四局で先手番、それ以外で後手番を持つことになりました。

持時間は第1回から1時間増えて各4時間となり、さらに厚みが加わりました(持時間が切れると1手60秒の秒読み)。千日手については、早い時間帯に成立した場合は再対局となりますが、遅いと引分に終わる可能性もあります。

電王戦としては今年に続く開催となりますが、(女流でない)現役プロ棋士とコンピュータとの対戦は2007年の渡辺竜王Bonanza以来6年ぶり。5週間の短期間で5局が行われるのは史上初です。コンピュータ将棋が対人戦でどこまで強くなっているか? そして現役プロ棋士はどんな秘策を用意しいかに対抗するか? 興味は尽きません。

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GPW杯コンピュータ将棋はBlunderが優勝

ご報告がたいへん遅れましたが、ゲームプログラミングワークショップ(GPW)2012中にて行われたGPW杯コンピュータ将棋大会は、総当たり5回戦の結果、Blunderが優勝しました。Blunderは昨年の同時優勝に続く連覇。おめでとうございます。

ゲームプログラミングワークショップ(GPW)2012では例年どおり多数の興味深い研究が発表されました。プログラムのページには、2件の招待講演に関する資料、特に「次世代デジタルゲームにおける人工知能の研究課題について」のプレゼンテーション(PDF)と論文(PDF)が追加されましたので是非ご覧ください。

また、来年のGPWの日程も決まったようです。例年と同じ会場で今年と同時期になるようです。

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ゲームプログラミングワークショップ2012 参加募集開始

第17回ゲームプログラミングワークショップ 2012 (GPW-12)参加申込受付が始まりました。今年も紅葉の季節の箱根で金曜日を含む週末3日間に開催。11月9日(金)~11日(日)ですので、お仕事のある方はお休みのご手配を。

今年のプログラム (暫定版)も多彩な内容の研究発表のほか、2回の招待講演ではコンシューマゲーム開発者による人工知能技術をテーマにするなど盛り沢山。そして恒例の夜更かしイベント、コンピュータ将棋 & コンピュータ5五将棋 & コンピュータ囲碁(9路盤/13路盤の2種目)の大会もGPW杯の名のもとに行われます。昨年はコンピュータ将棋大会が小規模なものになってしまいましたが、今年は例年どおり初日と2日目の夜にフル日程で行われる予定ですので、開発者の皆さんは是非ご参加ください。

GPW杯コンピュータ将棋大会は、将棋プログラムがインストールされた、イーサネットへの接続が可能なPCとイーサネットケーブル1本をお持ちくだされば、どなたでもその場でGPW杯コンピュータ将棋大会に参加できます。その場でログインアカウントを作ることもできます。人としての参加者も歓迎します。

参加費がちょっとお高いのもいつもの通りですが、学生さんには少し優しいお値段になっています。経験不問。コンピュータ将棋をはじめとして囲碁や5五将棋、その他の多くのゲームの開発者の方、もしくは興味をお持ちの方、多くのご参加を楽しみにしております。

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新刊: 人間に勝つコンピュータ将棋の作り方

人間に勝つコンピュータ将棋の作り方 [単行本(ソフトカバー)]


9月29日、当コンピュータ将棋協会の監修による新刊、人間に勝つコンピュータ将棋の作り方が、技術評論者から発刊されました。表紙イラストが示すように、あから2010の開発と女流プロ棋士との対局、およびその周辺を主題としています。

清水市代女流王将(当時)あから2010の対局からはや2年近く経過しており、この対局に関する書籍もすでにありますが、あから2010に実際に導入された技術の詳細な解説書は「情報処理」などの学術的専門誌を除いて初めてです。

内容が専門的である点は、共立出版コンピュータ将棋の進歩シリーズに近い分野になりますが、背景としてのコンピュータ将棋の開発史や、プロ棋士との一発勝負という特性を考慮した上で選んだ作戦の解説など、エピソード的な要素を多く含みます。特筆すべきは、アマチュアのエキスパートプレーヤーによるコンピュータ将棋の特徴と弱点の分析が含まれている点で、技術の客観的な評価を重視しているというだけでなく、第2回以降の電王戦に出場するプロ棋士にとっても必読の内容といえそうです。

豪華12名の執筆陣による新刊としてはお手頃なお値段なのではないかと思います。コンピュータ将棋の技術の盛り沢山なトピックスを貴方も是非この1冊で。

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将棋世界7月号に第22回世界コンピュータ将棋選手権

将棋世界 2012年 07月号 [雑誌]

月刊将棋世界7月号にて、第22回世界コンピュータ将棋選手権の紹介記事が掲載されています。記事は昨年に続き松本哲平さんの執筆10ページ。

来年に予定されている第2回電王戦第22回選手権の上位5チームがプロ棋士と対戦することがすでに決まっていることもあってか、人間との実力比較を意識させる構成になっています。もう人間より強いのではないか、という声が出始めたことを紹介する一方、入玉の展開になったときに見せる不可解な指し手など、コンピュータ将棋の弱点にもきっちり触れています。もちろん具体的な指し手の詳細な分析により、ねじり合いの力強さや終盤の鋭さなども紹介。結語には、レベルの向上を讃える一方で、電王戦ではプロ棋士の強さへの期待もにじませる内容になっています。今やハイレベルな棋戦として誌上でも完全に定着しており、優勝争いや予選枠争いの白熱の過程を追った部分も不自然なところがまったくありません。

丹念なインタビューをもとにした技術の紹介も随所にありますので、コンピュータ将棋開発者にとっても有意義な内容になっています。優勝したGPS将棋から、一次予選通過8チーム中6チームを占めた初出場組が持ち込んだ技術までを紹介。大規模並列化傾向のほか、技術情報の共有により開発を効率化させる一方で各開発者の独自の技術や思想も盛り込む、といった具合に、開発者の醍醐味も紹介しています。

7月号発売からご紹介が大幅に遅れ、そろそろ8月号発売の時期となってしまいましたがご了承ください。

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